「軽自動車」と「小型車」買うならどっちが良い? ホンダの人気車「N-BOX」と「フィット」で徹底検証!
フィットのほうが全長が長いのに、室内長はN-BOXが長い不思議
両車ともにコンパクトなボディが特徴ですが、取り回し性能も気になるところでしょう。
フィットのボディサイズは全長3995mm×全幅1695mm×全高1540mmで最小回転半径は4.9m(e:HEV HOME・FF)。対するN-BOXは全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mmで最小回転半径は4.5m(L・自然吸気・FF)と、ボディの小ささを活かして取り回しはN-BOXが有利です。
運転席からの視界はフィットの美点のひとつ。オーナーに話を聞くと、「低いダッシュボードのおかげで視界が広くて気持ちが良いです。ただ、Aピラーの死角のなさが話題になっていましたが、ちょっと期待が大きすぎました」とのことでした。
一方のN-BOXは、初代から乗り継いだオーナーいわく、「視点が高いから快適ですが、現行モデルになってダッシュボードの厚みが増したというか、メーターがハンドルより上に配置されるタイプになったので、旧型よりちょっと視界が悪くなった気がします」と印象を話してくれました。
また、両車(FF車)ともサスペンション形式は、前が「ストラット式」、後が「車軸式」と同じ形式を採用しますが、ハンドリングあるいはコーナリング性能についてはトレッドが広くホイールベースが長いことからフィットが有利。
乗り心地はどちらも快適に仕上げられていますが、フィットには「フラットで良いのですがたまに突き上げを感じることが……」という不満の声も。N-BOXは「ソフトな乗り心地は最高ですが、そのぶんロールが大きくなってコーナーで不安を感じることも」との厳しい意見もあったりします。
室内寸法(長さ×幅×高さ)はフィットが1955mm×1445mm×1260mmで、N-BOXが2240mm×1350mm×1400mm。室内幅はフィット、室内高はN-BOXが勝るのは見た目通りかもしれませんが、室内長は全長が短いにもかかわらずN-BOXのほうが長く取られています。
「顔の周りや頭上に余裕があると実際以上に広々と感じます」とはN-BOXオーナーのコメント。先代フィットから現行へと乗り継いだフィット好きからは「寸法的には3代目とほぼ同じなのですが、ダッシュボードやドアトリムの形状がよく考えられて広くなった感じがします」という声が上がっています。ちなみに、収納箇所が多いのはN-BOXです。
なお、どちらもセンタータンクレイアウトを活かしシートアレンジは多彩でほぼ互角。ただし、N-BOXの上級グレードには助手席が大きくスライドする「スーパースライドシート」が備わり、前後シート間のアクセスが容易にできるというプラスαがあります。
安全装備として、両車とも「Honda SENSING」が搭載されていますが、フィットには「近距離衝突軽減ブレーキ」と「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」が標準です。トラフィックジャムアシストは高速道路を低速走行時にステアリング操作を支援してくれる機能で、2022年秋のマイナーチェンジを機に採用されました。そのため「自分のクルマにも欲しかった」という前期型オーナーも多いようです。
N-BOXは、2021年12月の一部改良で、ユーザーからニーズが高かった「オートブレーキホールド付電子制御パーキングブレーキ」を全車に標準装備としました。また、ACCは0km/hから対応する渋滞追従機能付ACCへと進化し、高速道路における渋滞時などの負荷軽減を図りました。
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初代の登場から販売台数ランキングTOP3の常連だったフィットですが、現行モデルは少々苦戦が続いています。その理由のひとつが、フィットを買いに来たのに同じ販売店で売っているN-BOXを買ってしまう人が多いからとか。
フィットは間違いなく優れたコンパクトカーですが、それに匹敵するほどN-BOXの完成度が高いということでしょう。
2023年秋に新型N-BOXが登場しますが、ホンダの軽・コンパクトカーの動向に変化が見られるのか注目されます。
軽自動車は室内幅さえ納得できれば、広大な室内スペースが魅力なので、一人で乗る分には良いかもしれませんが、家族4人で乗車している時に後方から追突された時のことを考えると、怖くてなかなか購入には至らない。