”ミニバン”とは思えない!? トヨタ新型「アルファード/ヴェルファイア」の“乗り心地”だけじゃない“走り”の進化とは

例えるならアルファードはフランス車で、ヴェルファイアはドイツ車

 予防安全は最新(第3世代)のトヨタセーフティセンス(TSS)が搭載されていますが、運転支援機能となるレーダークルーズコントロールやレーントレーシングアシスト(LTA)の制御は滑らか&信頼できるもので、高速道路では積極的に使ってしまいました。

 この辺りはTSS自体の進化はもちろんですが、走る・曲がる・止まるの性能が大きくレベルアップした事も大きいはずです。土台が悪ければ、どんないい制御も活きませんので。

新型「アルファード」(左)と新型「ヴェルファイア」(右)で海苔味に違いはあるのだろうか
新型「アルファード」(左)と新型「ヴェルファイア」(右)で海苔味に違いはあるのだろうか

 ここからはアルファード/ヴェルファイアの乗り味の違いについてです。

 まずはアルファードから全て乗員の中でも“後席の人”を重要視したセットで、タイヤはエアボリュームの高い225/65R17を履きます。

 フットワークは、薄皮一枚入ったかのような穏やかさ、ハンドリングはどちらかと言えばロールを活かして曲がる印象で、例えるならフランス車のようなイメージに感じました。

 乗り心地は入力を乗員に伝えないソフトな感じですが、決してフワフワしたものではなく無駄な振動を抑えた上でバネ上をできるだけフラットにするボディコントロールはお見事。

 路面の入力に対して時間をかけながらジワーッと収束させる吸収性は、どこか1980年代のクラウンを彷彿させるところもあります。

 ただ、この印象はアルファードでは唯一となる周波数感応型ダンパー採用のエグゼクティブラウンジのみで、通常のダンパーを使っているZグレードは、エグゼクティブラウンジと乗り比べると入力に対するアタリの強さや振動収束の粗さが目立ちます。

その差は微々たるレベルではなく明確に違うので、個人的にはオプジョンでもいいので設定すべきだと思いました。

 一方、ヴェルファイアは全て乗員の中でも“運転席”を重要視したセットで全車周波数感応型ダンパーを採用、タイヤは225/55R19を履きます。

 ステア系は、かなりダイレクト感があり、ハンドリングはどちらかと言えばロールを抑えて曲がる印象で、例えるならドイツ車のようなイメージに感じました。

 乗り心地はアルファードと比べると引き締められた印象ですが、19インチを履いているとは思えないアタリの柔らかさで、後席の快適性はフォーマルに使っても不満は出ないでしょう。

 路面の入力に対してスッと短い時間で収束させる吸収性も相まって、バネ上のフラット感はアルファード以上です。目線の高いスポーティセダンと言ったら言い過ぎですが、そこに片足を踏み入れた走りを持っています。

 ヴェルファイア専用となる2.4Lターボ+8速AT搭載モデルは、先代のV6-3.5L-NAに変わる高出力モデルになります。最高出力は279psとV6の301psに劣りますが、最大トルクは430NmとV6の361Nmを大きく上回ります。

 1700~3600rpmで最大トルクを発揮するので、2トン越えの車両重量を感じさせない力強さに加えて、ガソリン車らしい伸びの良いフィーリングも魅力の一つでしょう。

 8速ATはトルクを活かしたシフト制御で日常域はビジーシフトを抑えた制御、逆に高速への交流やワインディングなどでは小気味良いシフト制御を行なってくれます。

 フットワークはハイブリッドモデルと車両重量はそれほど変わらない(Zプレミア同士だと10kg軽量)ですが、操舵初期の応答性やコーナリング時のクルマの動きは軽快で、ミニバンであることを忘れる一体感の高さを実感。これはスポーツセダンから乗り換えても納得の走りでしょう。

 いつもより多めのインプレッションでしたが、総じて言うと見た目はキープコンセプトですが、走りは革新レベルの進化です。

 どれくらい変わったかと言うと、先代までは「ミニバンの高級車」でしたが新型は「高級車のミニバン」と言っていいレベルで、ミニバンだから仕方ないと言った妥協はほぼ無いと言っていいと思います。

 新型は海外への展開も予定していますが、個人的には欧州で勝負してほしいなと思っています。

 開発陣にそんな話をすると「いくつか安全装備をプラスする必要がありますが、基本素性はそのままで大丈夫です」とのこと。チーフエンジニアの吉岡憲一氏は新型について「快適な移動をグローバルに」と語っています。

 日本が作り出した「おもてなしのクルマ」、我々日本人はもっと誇りを持っていいと思っています。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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