丸くない! 「謎のハンドル」なぜ存在? どうして運転できる? SF映画みたいな斬新ハンドルのメリットとは

レクサス新型「RZ」やトヨタ「bZ4X」に搭載される予定の丸形じゃない“異型ハンドル”。SF映画に出てくるクルマのような装備ですが、この異型ハンドルはなぜ装着が目指され、どうしてまともな操縦ができるのでしょうか。解説します。

“異型ハンドル”そのメリットとは

 レクサス新型「RZ」やトヨタ「bZ4X」に搭載される予定の丸形ではない新形状のハンドルは、ではなまるで、SF映画に出てくるクルマのような未来的な装備です。
 
 近年のコンセプトカーにも多く用いられているこの異型ハンドルにはどういうメリットがあるのでしょうか、そしてどういう仕組みで“まともな運転”ができるのでしょうか。

ナニコレ! なぜこんな形でまともな運転ができるのか(写真はレクサス「RZ」のヨーク型ハンドル)
ナニコレ! なぜこんな形でまともな運転ができるのか(写真はレクサス「RZ」のヨーク型ハンドル)

 かつて日本でも大ヒットしたアメリカのテレビドラマ「ナイトライダー」。本国では1982年から86年、日本では87年から89年にかけて放送されました。

 そんなナイトライダーで劇中に登場するクルマが「ナイト2000」。スパイ映画「007」シリーズのボンドカー並みどころかそれ以上の特殊装備を備え、完全自動運転や人工知能との会話がおこなえるなど、昨今の先進機能につながる“時代を先取りしたクルマ”です。

当時小学生だった筆者をはじめ、クルマ好き少年たちの心を鷲掴みにしました。

 そんなナイト2000は斬新なコックピットインターフェイスも特徴的。少年の心に大きなインパクトを残しました。

 ディスプレイがいくつも並ぶなど革新的だったのですが、極めつけはハンドル。一般的な丸型ではなく、飛行機の操縦桿のような形状だったのです。

 もちろん、当時の多くの人は、自動車にそんなハンドルを組み合わせる時代が来るなんて夢にも思っていなかったでしょう。

 そんなナイトライダーの本国放送開始から約40年が経過した2021年、クルマ好きを驚かせるニュースがありました。

 電気自動車のトップメーカーであるテスラが2022年モデルの「モデルS」などに「ヨーク型」と呼ばれる異型のハンドルを装備すると発表したのです。

 そのハンドルはまるで飛行機の操縦桿のようであり、まさにあのナイト2000のイメージ。「ナイト2000の特徴のひとつが現実となった」というだけで胸が弾むのは、きっと筆者だけではないでしょう(テスラのステアリングはナイト2000と異なり下底部で左右が繋がっていますが)。

 実は、国産車でもヨーク型を装着する車両が今後発売される予定となっています。

 それはレクサスのEVである「RZ」。現在発売されているRZは通常の丸いハンドルを装備していますが、将来的にはヨーク型ハンドルを装備した仕様を用意することが明かされていて、すでにその写真や動画も公開済みなので見たことがある人もいるのではないでしょうか。

 そんなヨーク型ハンドルのメリットはどこにあるのでしょうか。大きなメリットはふたつあります。

 ひとつは、開放感が高まること。

 ハンドルが小さくなることで目に入りにくくなり、視界が開けるからです。ハンドルの上部は常に視界に入るので、そこが視界から消える効果はかなり大きいでしょう。

 そしてふたつめのメリットは、メーターが見やすくなること。

 一般的なメーターはハンドルによって表示が遮られがち。いっぽうヨーク型ハンドルはハンドルの上部がなくなることでメーターが見やすくなります。

 またそれに関連して、メーターまわりのデザインに自由度が高まる可能性が考えられます。

 メーターは、ハンドルがあることで、ドライバーが確認できる範囲が限られる制約を受けています。

 しかし将来的には、最初からヨーク型ハンドルを前提とした内装レイアウトとすることも可能となるのです。

 一方、デメリットもあります。

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