「ビッグモーター」の損保各社への返金額は100億円以上!? 保険契約車両のオーナーに返金や等級ダウンの復旧はあるのか【独自取材】
車両保険を使えば翌年から3等級ダウン 保険料も上がる… ユーザー対応はどうなる?
事故で車両保険を使ったことがある人なら分かると思いますが、車両保険を使って修理をすると翌年から3等級下がります。
例えば今年は15等級だった契約者は12等級に下がります。
そして保険料も高くなり、事故有係数期間を含めると完全に元の保険料に戻るまでに一般的には6年掛かることになるのです。
ビッグモーターでこれまで修理をした人の中には等級ダウンによる保険料の値上がりなどを考えると、車両保険を使わずに修理したほうが良い軽微な修理で終わるケースがあったかもしれません。
また、免責金額(5・10万円など)に達していない場合はそもそも保険支払いの対象外です。
このような10万円-15万円以下の比較的軽微な損傷に関して、ビッグモーターはわざと損傷個所を拡大するなどして、見積もりを水増しして請求していたケースも多数あったとみられます。
不正請求によって等級ダウンとなり、保険料が上がってしまった契約者もかなりいるでしょう。
不正分を支払った損保各社も被害者かもしれませんが、ビッグモーターに「入庫誘導」されて修理を受けた保険契約者も被害者なのです。

損保各社は不正水増し分をビッグモーター側に支払ったとしても、その分、自賠責保険や自動車保険の契約という、損保によっては年間100億円以上の見返りが得られていた実態があります。
しかし、一般契約者には当然何の見返りもないばかりか、本来払わなくて済んだお金を支払うことになります。
ビッグモーターは損保各社に不正分の返還を行うとしており、また、損保各社は不正請求の対象となった契約者に対して等級の復活や収めていた値上がり分の保険料を返還する動きを見せています。
また現在、特別調査委員会による調査とは別ルートで、不正請求に関しての調査を進めています。
「テクニカルサポート部の人員によって過去3年間のすべての保険請求について調査をしていますが、全部終わるまでには数年かかる見込みです」(関係者)とのことで、全容が解明されるまでには相当な時間がかかることも予想されます。
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なおビッグモーターは保険不正請求に関して問い合わせ窓口を開設しています。
心当たりのある方は問い合わせをしてみてください。また契約している保険会社に問い合わせるという方法も良いでしょう。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。





















