なぜ「背の低いミニバン」絶滅? かつては定番ジャンルも今は「背の高いミニバン」ばかり… 需要の変化で何が起きたのか

かつて日本のミニバン市場には、背の低いヒンジドアのミニバンと背の高いスライドドアのミニバンが存在しました。しかし、背の低いミニバンは2021年にトヨタ「プリウスα」が終了してから新たに登場していませんが、なぜなのでしょうか。

そういえばあったね… 「背の低いミニバン」なぜ絶滅?

 ミニバンと言えば、基本的に背が高くスクエアボディに3列シートを設定するモデルですが、かつては背が低いワゴンボディも存在しました。
 
 なぜ最近ではそうした背の低いミニバンは姿を消してしまったのでしょうか。

背の低いヒンジドアのミニバンはなぜ姿を消してしまったのか?(画像はホンダ「ジェイド」)
背の低いヒンジドアのミニバンはなぜ姿を消してしまったのか?(画像はホンダ「ジェイド」)

 現在ミニバンと言えば、「高い全高/スクエアボディ/3列シート/スライドドア」を備えるというスタイルで多積載&多人数乗車を特徴とするモデルです。

 日本ではミニバンジャンルとして1990年代にトヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」が登場したことから確立されました。

 その後、現在でも2022年にミドルクラスにおいてトヨタ「ノア/ヴォクシー」、ホンダ「ステップワゴン」、日産「セレナ」がそれぞれフルモデルチェンジ。

 さらに2023年にはラージクラスのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のフルモデルチェンジ、レクサス「LM」の日本投入、ホンダ「オデッセイ」の日本復活と、ミニバンの話題は事欠きません。

 これらのミニバンは、前述の特徴を備えたミニバンですが、かつては「低い全高/ワゴンボディ/3列シート/ヒンジドア」というミニバンも国産メーカー各社から登場していました。

 例えば、トヨタ「イプサム」や「ウィッシュ」「パッソセッテ」「プリウスα」「マークX ZiO」 、ホンダ「ストリーム」「ジェイド」、日産「ラフェスタ」「バサラ」、スバル「トラヴィック」「エクシーガ」、三菱「グランディス」、マツダ「プレマシー」といったモデルが挙げられます。

 中でも最も後発で2015年2月に販売されたジェイドは、スポーティなステーションワゴンのスタイルでありながら、3列シート/6人乗りのミニバンとして新たなジャンルを切り開いたモデルです。

 その後、2018年5月のマイナーチェンジでは2列シート車を追加しており、追加した理由について当時のホンダは、「ジェイドのクラスは一定規模の需要があり、走りやデザインの激戦区であるステーションワゴン市場にホンダらしいスポーティなモデルとして2列仕様を投入することを決めました」と説明しています。

 しかし、2列シート車を追加した約2年後の2020年7月に、ホンダはジェイドの生産終了を公表。

 その翌2021年3月にはプリウスαが10年の歴史に幕を下ろしています。

2021年3月で生産終了となったトヨタ「プリウスα」には2列シート/3列シートが設定されていた
2021年3月で生産終了となったトヨタ「プリウスα」には2列シート/3列シートが設定されていた

 そして2023年現在では、プリウスα以降に背の低いヒンジドアのミニバンは姿を表していませんが、なぜなのでしょうか。

 国産メーカーAの担当者は次のように話します。

「現在の新車市場での売れ筋は、大きくいくつかのタイプに分けられます。

 ひとつは、ボディサイズが小さく扱い易い軽自動車やコンパクトカー。

 もうひとつは、背が高く居住性もそれなりにあるうえにアクティビティにも向いているSUVで最近では3列シートを備えるものもあります。

 そして、背が高く室内空間が広いスライドドアを備えた3列シートを備えたミニバンです。

 こうした中で、背の低いミニバンは『丁度良い』ように思えますが、逆に言えば中途半端な存在とも言えます。

 居住性では背の高いミニバンに劣りますし、扱い易さでは軽自動車やコンパクトカーに劣ります。

 またかつて背の高いミニバンが支持された要因として『人と荷物が積める上に走りも良い』というものもありました。

 しかし、最近ではクルマの性能自体も良くなったほか、SUVという万能タイプが定番化したこともあり、背の低いミニバンは中々需要が見込めないといった状態で、この先新たに出てくる可能性は低いと思います」

※ ※ ※

 かつては「低い全高/ワゴンボディ/3列シート/ヒンジドア」という特徴を持つミニバンが各メーカーから数多く展開されていました。

 しかし最近では「高い全高/スクエアボディ/3列シート/スライドドア」を備えるというスタイルが定番化したことで、背の低いミニバンは姿を消したままです。

 では今のユーザーはミニバンに何を求めているのでしょうか。

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9件のコメント

  1. 私はフリ-ド乗ってますけど、これミニバンじゃないでしょうかね?ミニバンで一番売れた車ということで雑誌などで紹介されてますけど フリ-ドの良いところは乗り降りが楽です(座面高さがちょうどよい)小回りが利くところです

    • ほぼ絶滅したヒンジドアのミニバンの話をしてるんですよ。
      フリードはこれらの対極で現在需要のある車です。

  2. オデッセイがスライドドアになった時はもの凄くショックだった。

    • まあでも、スライドドアにしたら販売台数が増えましたからね…
      時代の流れですね…

    • 今のオデッセイ凄く良いですよ。
      ヒンジじゃ使い難いし、強風の時に子供や年寄りだと時に風で負けて隣りの車にドアパンチしないかヒヤヒヤする。スライドはドアパンチの心配もないし、狭い駐車場でも乗り降りが楽です。

  3. タントにスライドドアを導入した時期に、シエンタとの入れ替え要員で投入したパッソセッテでスライドドアを省いたのは迷采配にしか見えない

  4. 車体はデカくなってるのに駐車スペースはデカくならない
    子供が居る家庭ならスライドドアはマストでしょう。
    同じ税金、同じ燃費、その他維持費が同じなら
    より大きくていっぱい乗れた方が良いに決まってる。
    見た目はいずれ飽きるし、信号、渋滞、細い道だらけの日本に走行性能を求めても事故に繋がるだけ。
    世間がミニバン、トールワゴン軽に走るのは当然の流れなのよね。
    バブリーで自動昇給でハイオクが90円切ってるような時代だったらもっと選択肢あるだろうがね。

  5. ホンダが「オデッセイ」を中国で作り輸入販売するという報道を4月にしていたけれど。
    ある程度は、購入希望はあるでしょう。
    新規ではなく「復活」という形で、背の低いミニバンが販売されるのです。

  6. RB以降のオデッセイの血筋がジェイドでしたっけ。
    サイズも違うし同じではないけど、RCの背高スライドドアが嫌な人はジェイドをどうぞみたいに当時言われてたような…。

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