なぜクルマによって「ボンネット」の長さ変わる? 「SUVは長い」対「ミニバンは短い」 背景には何が関係してた?

クルマには様々なボディタイプが存在します。近年では「SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)」が人気を博しています。その一方で日本では多人数&多積載が特徴の「ミニバン」も人気ですが、なぜ両者はボンネットの長さが異なるのでしょうか。

SUVのボンネットが長く、ミニバンのボンネットが短いワケ

 様々なボディタイプのなかでも高い人気を誇るSUVとミニバンには、ボンネットの長さという外見上の大きな違いがあります。
 
 SUVとミニバンのボンネットの長さは、なぜこれほどまでに異なるのでしょう。

ミニバンのボンネットは短め? SUVのボンネットは長め? なぜ?
ミニバンのボンネットは短め? SUVのボンネットは長め? なぜ?

 6人以上の多人数乗車ができるクルマを求めると、基本的には3列シートSUVかミニバンから選ぶことになります。

 それぞれのボディタイプには一長一短がありますが、外見上の大きな違いで言えば、SUVが長いボンネットを備えているのに対し、ミニバンのボンネットは比較的短いという点が挙げられます。

 近年のSUVは、「都市型SUV」や「スポーツSUV」といった様々なスタイルへと派生しており、かつてよりもその言葉が意味するものが広がっています。

 しかし、どんなスタイルであっても「SUV」と名が付くものは基本的に長いボンネットを備えており、SUVの特徴のひとつとなっています。

 ボンネットの長さは、その下におさまるエンジンの大きさと配置方法(駆動形式)によって決まりますが、クルマにとって最大級の重量物であるエンジンをどのように配置するかによってそのクルマの特性は大きく変化します。

 物理法則から言えば、重量物はできるだけ車体の中心に配置した方が走行安定性や旋回性の面で有利になります。

 しかし、車体中心部にエンジンを配置してしまうと、乗員のためのスペースの確保が難しくなるため、一部のスポーツカーやレーシングカーなどを除いて採用されることは皆無です。

 そこで、ほとんどのクルマではフロントにエンジンを置くわけですが、居室空間を確保するためにエンジンをあまりに前に置いてしまうと、フロントヘビーになりクルマとしてのバランスが悪くなってしまいます。

 ただ、居室空間も確保しなければならないため、ボンネットを延長することでエンジンをできるだけ車体の中央部に寄せ、全体のバランスを保っています。

 SUVはセダンなどに比べて車両重量が大きくなりやすいため、エンジンも大きなものが採用される傾向があります。

 加えて、SUVは重心が高いため、ボンネットを長くしてエンジンの配置を工夫しなければバランスが悪くなってしまうという問題があります。

 その結果、SUVの多くはボンネットが長いデザインが採用されているようです。

 一方のミニバンは、その名のとおり「(商用)バン」を源流としているため、乗用車から派生したSUVとは少し事情が異なります。

SUVには「美しいデザイン」が求められることも多い
SUVには「美しいデザイン」が求められることも多い

 ミニバンに求められるのは多くの人や荷物を乗せることであり、運動性能などは基本的に二の次です。

 そうなると、コンパクトなエンジンをできるだけ前方に寄せることで最大級の荷室空間を確保するようなパッケージとなります。

 もちろん、ミニバンにもボンネットを長くすることで得られるメリットはありますが、全長が長くなるなどのデメリットも同時に発生します。

 海外のミニバンではボンネットの長いものもありますが、特に日本国内向けのミニバンでは、取り回しのしやすい全長や見切りの良さを重視してボンネットの短いデザインとすることが多いようです。

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