車の「オーバーヒート」なぜ起こる? 「経年車」では“他人事”じゃない! トラブル発生時の対処法は?

クルマにとっても過酷な夏は、エンジンの冷却が機能しなくなるオーバーヒートも増加します。どのように対策すれば良いのでしょうか。

夏場は「オーバーヒート」しやすい? 原因は?

 真夏は、人だけでなくクルマにとっても過酷な状況で、メンテナンスを怠ると走行不能状態のオーバーヒートにつながります。オーバーヒートを起こすと、最悪の場合クルマの制御が困難になり大事故につながりかねません。

クルマの「オーバーヒート」原因と対策は
クルマの「オーバーヒート」原因と対策は

 クルマのパーツで一番高温になるのが、燃料を燃焼・爆発させているエンジンです。

 オーバーヒートは、エンジン内部が適正状態よりも高温になる現象のことで、各パーツが限界温度を超えて歪んでしまうことなどから、様々なトラブルが引き起こされることをいいます。

 新車はあまりオーバーヒートについて心配する必要はないのですが、年式がある程度経過したクルマなどはこまめなメンテナンスを怠っているとオーバーヒートする可能性は十分に考えられます。

 夏場は道路も熱いうえに、クルマ自体も熱を放出するとともにエンジンの負荷となるエアコンを作動させることから高温になりやすく、オーバーヒートを引き起こすリスクが高いといえます。

 特に、渋滞時などはラジエーターが走行風を受けず、エンジンが熱を持ちやすい状態になっているため、より一層注意が必要です。

 オーバーヒートの症状としては、アクセルを踏んでもいつものようにスピードが上昇しないなどの違和感や焦げたような異臭、エンジン内部パーツがダメージを受けている場合は普段聞いたことのない異音が聞こえるなどの症状があります。

 そのような危険なトラブルとなるオーバーヒートですが、どのような原因で発生するのでしょうか。自動車整備工場の整備士は次のように話します。

「オーバーヒートが起きる場合、エンジン単体が直接高温になることはあまりありません。

 よくある原因としては、エンジンを冷却する水回り系統に故障が起き、正しく作動しない場合や、冷却のためのファンが故障しているなどがあります。

 このように、オーバーヒートはエンジン周辺の補機と呼ばれる付随パーツの異常から発生することが多いため、様々な箇所を点検する必要があり、注意が必要です」

 補機のなかでもエンジンを冷却しているパーツは主にラジエーターやラジエーターファン、ウォーターポンプなどがあります。

 ラジエーターはエンジンとホースで接続されており、冷却水が満たされた回路になっています。冷却水をウォーターポンプによって循環させ、ラジエーターの細かい金属フィンに走行風が当たることで熱交換がなされる仕組みになっています。

 一方で、経年劣化によってラジエーターホースが裂けてしまったり、ウォーターポンプが動作しない、ラジエーターに亀裂が入って冷却水の漏れが生じるなどのトラブルがあればエンジンを十分冷やすことができず、結果としてオーバーヒートにつながります。

 そのほか、エンジンオイルが規定量入っていないことでもオーバーヒートを発生させるリスクが高まります。

 最悪の場合、エンジン内部の金属パーツが変形して大きな損傷が発生したり、高温によってエンジンオイルの油膜が切れてしまうことによる焼き付きなどが発生し、エンジン自体を交換しなければならないこともあるので、十分注意したいトラブルのひとつといえます。

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