もはや懐かしい! ボンネットの「穴」何のため? エンジンがなくなった時代には「絶滅」する!?

もはや懐かしいクルマの装備のひとつが、ボンネット上の大きな「穴」ではないでしょうか。何の目的で備わっていたのか、その理由について解説します。

歴史によって移り変わる「ボンネットの穴」の目的とは

 かつて、クルマのボンネット上に大きな「穴」が備わったクルマは良くみられたものでしたが、近年は減りつつあります。
 
 そもそも穴は何のために備わっているのでしょう。そして今後はなくなってしまうのでしょうか。

ボンネットの“穴”は一体何のために開いているのでしょうか[写真は三菱「ランサーエボリューション」ラリーアート仕様]
ボンネットの“穴”は一体何のために開いているのでしょうか[写真は三菱「ランサーエボリューション」ラリーアート仕様]

 クルマのボンネット上に、色々な穴が開いていた時期がありました。

 穴の目的は様々ですが、多くの場合エンジンルームに冷たい空気を送ることや、エンジンルームの熱気を逃がすことを目的としていました。

 このうち、空気を取り入れるものを「エアスクープ」(もしくはエアインテーク)、空気を排出するものを「エアアウトレット」と呼んでいます。

 時代の変遷と、この穴の歴史を簡単に説明していきましょう。

 まず、1960年代から70年代のアメリカ車のうち、マッスルカーと呼ばれたハイパワーなクルマには、大排気量の大きなエンジンが搭載されていました。

 エンジン自体が大きく、V型エンジンのために吸気口がエンジン中央にあることから、エンジンの吸気口をエンジンフードの上にすることで、冷えた外気を十分に取り入れられたのです。

 日本車では、1970年代中頃の排出ガス対策車が穴を開けていました。

 当時の排出ガス対策車は、排気系統の部品が高温になる傾向がありました。

 そのため、高温になるエンジンルームから熱気を追い出すための穴を開けていたのです。

 一方、時代が流れて1980年代になると、ターボエンジンブームが起こります。

 ターボとは、空気を圧縮してエンジンに送り込んでパワーを上げる装置です。

 空気は圧縮すると温度が上がるのですが、エンジンに熱い空気を送ると空気の密度が低下してせっかくのターボの能力が生かせないうえ、エンジン内の燃焼にも悪影響をおよぼします。

 そこでターボで熱くなった空気を冷却装置の「インタークーラー」に通し、インタークーラーに外気を当てて冷ましていたのです。

 そのインタークーラーへ、より風を多く当てるために、エンジンフード上に空気取り入れ口を設けていました。

 ターボエンジン車は、性格上パワーを絞り出して運転する傾向にあり、高い冷却性能が求められます。

 そこで、ラジエーターを通り抜けた風をエンジンルーム外に排出するために、エンジンフード上に穴を開け、車の後方に熱気を排出していたクルマもありました。

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