驚き!? トヨタが「BEV電池戦略」を一挙公開! 「BEV価格」が一気に安くなる!? 航続距離もかなり伸びる?
ついに詳細が明らかになった全固体電池だが…メリットはどこに?
さて、一般的に「全固体電池になれば、BEVは一気に普及する」とか、「BEVの本格普及には全固体電池が必須」というニュースがテレビ・新聞・ネット・SNSなどで見受けられます。
そこで今回、トヨタの電池開発者に改めて「全固体電池のメリット」を聞いてみました。
すると「リチウムイオン電池は、正極と負極の間に液状の電解質が入っていますが、これが固体になることで、正極と負極の間のリチウムイオンの伝達性が速く、電池としての性能が高くなる」という点を強調しました。
また、電池になんらかの異常が生じ、温度が急激に上昇すると「液状の電解質は燃えるが、全固体は燃えないことが大きなメリット」という一般論については、「正確には燃えないのではなく、燃えにくい」と表現しました。
いずれしても、電池の温度管理などを行うマネージメントシステムの重要性は、液状の電解質を使うリチウムイオン電池と変わらないという解釈です。
また、課題としては状況によっては「割れる」という点も指摘しました。
リチウムイオン電池は充電や放電を繰り返す過程で電池全体の膨張と収縮が起こります。
これが液状の電解質の場合は柔軟に行えるが、全固体電池だと材質や管理状態によって固体部分が割れることもあるといいます。
こうした課題については、全固体電池については2027年~28年の量産にチャレンジするために今後、材料や構造に関する研究開発を加速させます。
以上見てきましたように、トヨタが2028年までに量産にチャレンジする5種類のリチウムイオン電池には一長一短があります。
これを、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)をベースとして、様々なパワートレイン搭載を可能とする「マルチパスウェイ プラットフォーム」によるBEVに搭載する、またbZ4Xから採用しているBEV専用のe-TNGAに搭載、そして今回明らかになった新工法による次世代BEVという、大きく3種類のBEVプラットフォームと上手く組み合わせることになるでしょう。
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なおトヨタは新体制説明会にて2026年までに新たにBEVを10モデル投入し年間150万台の販売を目指すことを明らかにしていました。
今回トヨタのBEVファクトリーのプレジデントに就任した加藤武郎氏は、その先の具体的な販売目標も示しています。
2030年時点でトヨタBEVファクトリーが提供するグローバルBEV販売台数は、コンパクトサイズのセダン/ハッチバックが36万台、ミッドサイズのSUVが36万台、そしてラージサイズではMPV(マルチパーパスヴィークル)が12万台、SUVが60万台、セダン/ハッチバックが24万台で合計168万台とし、これにより2030年でのBEV全体の基準である350万台のうち、BEVファクトリー由来の次世代BEVの基準を170万台と設定しました。
パフォーマンス重視BEVや価格重視BEVなど、多彩なトヨタおよびレクサスBEVが2030年代に向かって次々と登場することになります。
最後に加藤武郎氏は「次世代電池を採用し、電費は世界Topに拘り、稼いだ原資で、お客様の期待を超える商品力向上を図り、収益を確保します。ぜひ『クルマ屋がつくるココロ揺さぶるバッテリーEV』にご期待下さい」と締めました。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
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