トンネルとは違う!? 山道で目にする「覆道」って何? ドライブスポットとして注目される意外な理由とは
山道を走っているとトンネルのような造りの「覆道」を見かけることがあります。近年はドライブスポットとしても人気になっているようですが、いったい何を目的とした建造物なのでしょうか。
「覆道(ふくどう)」とトンネルの違いとは?
山間や川沿い、あるいは海沿いといった比較的自然が豊かな道を走っていると、トンネルのようだけど片側が吹き抜けになっている、トンネルとはちょっと違う建造物を通ることがあります。
これは「覆道(ふくどう)」と呼ばれる土木構造物なのですが、いったいどのような目的で作られているのでしょうか。
覆道を知る前に、まずはトンネルについておさらいしてみます。
トンネルとは2地点間の交通などを目的に建設される、断面の高さや幅より長さ(奥行)の方がある細長い地下空間のことを指します。地下や海底、山岳などの土中を通るため、道路(や鉄道など)の周りは壁に囲まれているのが一般的です。
もともとは人工に限らず自然に形成されたものも含めた言葉で穴のサイズも問いませんでしたが、1970年のOECDトンネル会議で「計画された位置に所定の断面寸法をもって設けられた地下構造物」で「断面積が2平方メートル以上のもの」と定義されました。
日本語では「隧道(ずいどう/すいどう)」と表記しますが、「隧」の字が常用漢字でないこともあり、現代では一部のトンネルの名称に残っている程度で、実際はほとんど使われていません。
一方、覆道はトンネルのように道路や鉄道を通すために作られるものではなく、落石や土砂崩れ、雪崩から道路を守るために設置される建造物です。山岳部のトンネルは山を掘削して道路を通しますが、覆道は山の斜面を削った「切土」に通る道路を守る屋根といえばイメージしやすいのではないでしょうか。
落下物による被害を防ぐには道路の上部を覆う必要があるため、結果的にトンネルと似た形状になっています。
防護という目的を達成できれば全面的に壁に囲まれている必要がないため、採光や景観などを考慮して左右のどちらか片側が支柱だけになっていたり、壁ではあるものの窓が設えてあったりするのが覆道の特徴です。
もちろん例外はありますが、トンネルは断面が半円形なのに対し、覆道は長方形のものが多いようです。
覆道は「洞門(どうもん)」や「半トンネル」、あるいは「シェッド(シェード)」とも呼ばれ、また目的に応じて「スノーシェッド(雪崩対策)」、「ロックシェッド(落石対策)」、「アースシェッド(土砂崩れ・土石流対策)」と細かく分類されます。
余談になりますが、「スノーシェルター」というスノーシェッドに似た建造物も存在します。これは吹雪対策で雪の吹き溜まりや視程障害を防止するためのもので、断面はトンネルのように半円形が主流です。
新潟県の海岸線を走ると結構あるよね。