スウェーデンのボルボ・カーズは、イタリア・ミラノで2023年6月7日（現地時間）、新型BEV（電気自動車）「EX30」を世界初公開しました。
　
　都市ユーザーをターゲットにした同社初の小型プレミアムSUVで、製造過程から廃棄に至るまで、環境負荷の低減も強く意識し開発されたといいます。

　ボルボではすでにコンパクトSUV「C40 Recharge」「XC40 Recharge」などのBEVを、日本市場も含めた各国で展開中です。

　今回発表された新型EX30はこれらの先行モデルよりも、よりコンパクトなサイズだといいます。

　同社によると、新型EX30はこれまでのボルボ車のなかでも、カーボンフットプリント（CFP：原材料の調達から廃棄に至るまでの環境負荷）が最も低い設計を実現したといいます。

　新型EX30の製造にあたり、アルミニウムやスチールの使用量を減らす一方で、内外装ともにリサイクル素材をより多く使用したほか、高レベルなクライメート・ニュートラル エネルギーにより稼働する工場で製造される予定となっています。

　これらの積み重ねにより、C40 Rechargeなどと比較しても25%の削減を実現したといい、ボルボ・カーズが掲げている「2018年から2025年の間に車両1台あたりのCO2排出量を40％削減する」とした目標の達成に向け、順調な流れにあることがうかがえます。

　パワートレインは、2つのシングルモータータイプと、ハイパフォーマンスなツインモーター（AWD）の3つを用意し、異なる2種類のバッテリーと組み合わされます。

　シングルモーター・エクステンデッドレンジ仕様では、充電間の航続距離を最大480kmまで伸ばせるといいます。

　一方でツインモーターのAWD（全輪駆動）タイプは最高出力315kW（428hp）を発揮し、0-100km／h加速はボルボ史上最速だという3.6秒を記録します。

　充電においても最大153kW、スタンダードレンジでも最大134kWの充電能力を備え、25分強でバッテリーを10%から80%まで充電できるといいます。

　新型EX30の内外装デザインは、シンプルかつクリーンな佇まいです。

　ロングホイールベース、大径ホイール、前後そろったショートオーバーハングなどは、同社の他モデル同様のフォーマットをもとに、バランス良くコンパクト化したようなイメージがあります。

　大開口部のないフロントマスクにボルボ車共通のトールハンマーをイメージしたヘッドライトが組み合わされ、BEVらしさを感じさせます。

　インテリアも同様に、北欧テイストの色合いにこだわったオシャレな印象で、機能的な複数の収納にも配慮が加えられています。

　レイアウトはシンプルな配置とし、メーター表示なども含めドライバーに必要な情報は全てダッシュボード中央に配置された12.3インチセンタースクリーンの1画面に集約されたのも特徴です。

　重要な情報に集約した「Calm」表示も用意し、夜間の長距離運転における目の負担を軽減させます。

　さらに前出の通り、内装にもデニム、亜麻、ウールなどのリサイクル素材や再生可能な素材を多用しているといいます。

　ボルボ・カーズのジム・ローワン CEOは新型EX30発表に際し、次のように話します。

「EX30は、ボルボ史上最小のSUVかもしれませんが、お客様にとっても、私たちの会社にとっても大きな意味を持ちます。

　EX30は、お客様がボルボに求めるすべてを小さなパッケージで実現した、小さいけれど最高のクルマです。

　他のボルボ車と同様に、このクルマも安全であり、お客様自身やそのニーズに合わせて設計された素晴らしいクルマなのです」

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　新型EX30は欧州などで注文受付を開始したほか、米国で予約注文を開始しました。

　また今後2024年にはEX30のバリエーションとして、クロスカントリー仕様を追加し、2024年後半には生産を開始する予定です。

　日本法人のボルボ・カー・ジャパンによると、新型EX30の日本での発売は未定だといいます。

　ただし小型サイズの都市型BEVは日本でも需要が見込まれることから、導入に期待がかかるところです。

［編集部注記：2023年6月9日、文字間違いが確認されたため一部を修正しています］