クルマの「全幅」どこまで拡大する? いまや「全幅1900mm前後」は当たり前! 日本の道路で限界は何mm?
1900mm以上だと実用困難に?全幅の「本当の限界」とは
全幅の拡大は、衝突安全性や走行安定性、居住性、デザイン性などにおけるメリットも大きく、グローバル市場でのニーズも高いことから、今後も一定のペースで進んでいくことが予想されています。
一方、あまりに全幅が大きくなってしまうと、実用性が損なわれてしまうのも事実です。では、乗用車の全幅の「本当の限界」はどこにあるのでしょうか。
道路法における車両制限令第三条を見ると、公道走行可能な車両の全幅は2500mmと規定されており、これが法律上の限界であることがわかります。
全幅がこれ以上の車両は日本の公道を走行できないため、その意味では全幅2500mmが「本当の限界」と呼べるかもしれません。
ただ、これは大型のトラックやトレーラーを意識したもので、2500mm近い全幅を持つ乗用車が発売されたことはいまだかつてありません。

実用上の限界という点では、たとえば東京都内にある高級ホテルの駐車場では全幅2100mmが上限とされていますが、これはスーパーカーや高級SUVなどに配慮したものと考えられます。
現在日本で新車で購入可能なモデルのうち、最も全幅が大きいのはキャデラック「エスカレード」の2065mmですが、ロールスロイス「ファントム」の2020mm、ランボルギーニ「ウルス」の2016mmがそれに続きます。
いずれもごく限られたユーザーしか乗れないモデルではありますが、全幅2100mm以内であれば、なんとか実用することはできそうです。
より現実的な範囲で考えると、ほとんどのコインパーキングや機械式駐車場の上限である、1900mmが多くの人にとっての実用上の限界と言えるかもしれません。
全幅が1900mmを超えると、都市部における駐車場インフラのほとんどが利用不可能になってしまうため、量販モデルの全幅がこの数字を超えることはまずなさそうです。
全幅2000mmを超える2トントラックが市街地を多く走っていることを考えると、全幅1900mm程度では「物理的に走行できない」ということはほとんどないと思われます。
ただ、特に都市部での実用性を考えると、全幅1900mmがひとつの限界と言えそうです。
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車両制限令第5条では、「市街地区域」の道路を走行する車両の全幅が規定されており、車道の幅員から0.5mを引いた数の2分の1を超える車両は、原則としてその道路を走行できないとされています。
建築基準法における「道路」は幅員4m以上とされており、家屋などを建築する場合は原則としてこれに接している必要があります。つまり、ほとんどの道路は最低でも4mの幅があることになります。
先の計算式に当てはめると、幅員4mの道路を走行可能なのは全幅1750mm以下の車両となります。
法律でこのように規定されていることを考えると、コンパクトカーや軽自動車などの生活に根ざしたクルマは、今後も全幅1750mm以下となることは間違いなさそうです。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。


















