24時間の戦いに挑む! GR86&SUBARU BRZはいかに進化した? 次期型に繋いだ…2年目の勝負

2回目の24時間レースはどうだった? 2人のキーマンに聞いてみた!

 レース後、両チームのキーマンに話を聞きました。

 まずはGR86 CNF conceptの開発責任者・藤原裕也氏です。

―― 最後までドキドキでしたが、ゴール後の清々しい笑顔が今回のレースを総括しているように感じました。

 藤原:皆が一生懸命やってくれた事もありますが、細かいトラブルはありましたが、24時間止まることなく走れたので、素直に「よく走ってくれたな」と。

―― 2022年の富士24時間で悔しい想いをしてから1年、1つの結果が出たと思います。

 藤原:マシンの課題やチームビルドなど、クルマも人も「手を入れてない所がない」と言うくらい手を入れてきた結果、速さと強さも見せることができました。

―― 速さと強さに加えて、2022年ドライバーから言われていた「乗りやすさ」についてはどうでしたか。

 藤原:レースウィークを通じて良い方向だったと思います。

 大嶋監督からも「去年は本当に乗りにくかったけど、ようやく乗れるようになってきた」と言われましたよ。

ORC ROOKIE Racingとしては全3台が完走した
ORC ROOKIE Racingとしては全3台が完走した

―― このプロジェクトは次期モデルの先行開発も兼ねていますが、感触はどうですか。

 藤原:データもかなり蓄積できました。

 今回の結果も大事ですが、我々の使命は「お客様に提供する」ですので、耐久性を示せたことも非常に大きいですね。

――極限の環境で24時間走り切ったことで、次のステップに進み始めるわけですね。

 藤原:まさにその通りで、我々としては大きな一歩だと認識しています。

 ただ、ゴールはまだ先なので今後も止まることなく、進化させていきます。ありがとうございました。

ナイトセッションではブレーキ時に赤く光る様子も観物だ!
ナイトセッションではブレーキ時に赤く光る様子も観物だ!

 続いて、BRZ CNF Conceptのチーフエンジニア・竹内源樹氏に総括を聞いてみました。

――シッカリと走り切ったものの、「GR86との戦い」と言う部分はレースウィークを通じて悔しさがあったと思います。

 竹内:我々エンジニアとしては、クルマをトラブルなく24時間走らせた事、更にドライバーに「我慢してくれ!!」と言う状況を作らなかった事はしっかりとできたかなと。

――2022年はプロドライバーと社員ドライバー(=ジェントルマン)とのタイム差が少ないマシンづくりを行なってきましたが、その辺りはどうでしたか。

 竹内:タイムのバラつきも少なく全員がコンスタントに走れるようになったことは、特に若手にとっては自信になったものの、その一方でその土台に立った中で、新たな「悔しさ」が生まれたのも事実です。

――2022年は接触のアクシデントがありましたが、24時間ほぼトラブルフリーで走り切った事は、「2年目の進化」と言えると思います。

 竹内:実際走り切れたから言える事だと思いますが、結果としてはその通りだと思います。

――このレースでも様々なトライをしていたと思いますが、想定内/想定外の結果は出たのでしょうか。

 竹内:まだ分析をしてみないと解りませんが、2022年は全く解らない中でのトライだったのに対して、2023年はある程度解っている中でのトライなので、前に進んだのは間違いないと思います。

 ただ、走り切ったから言えますが、安全サイドに考えすぎていた部分もあったので、そのあたりは今後に活かします。

――GR86もトラブルフリーだったので、我々としては本当の意味での「24時間バトル」を見させてもらいました。

 竹内:そこに関しては「悔しい」の一言ですね。

 チームを運営する立ち回りの人間としては、若いエンジニアにこの悔しさを感じて次のステップに繋げてほしいです。

 私もモータースポーツをずっとやっていますが(竹内さんは全日本ラリーに参戦中)、ここでの知見は本当にクルマづくりの勉強になっています。

――24時間は終わりましたが、シーズンは続きます。ただ、本当のゴールは「量産モデルへのフィードバック」です。

 竹内:もちろん、その辺りは皆考えている部分です。

 我々はレースだけやっているのではなく量産開発が本業なので、ここで得たモノをそれぞれの持ち場で活かすことが、次世代の「スバルらしさ」に繋がると思っています。ありがとうございました。

富士24時間レースは次期モデルに繋がった!? 次戦は7月SUGO!
富士24時間レースは次期モデルに繋がった!? 次戦は7月SUGO!

※ ※ ※

 このように両チーム24時間を走り切ったことで、次に向けた「何か」がうっすらと見えてきたように感じました。

 ちなみにこのプロジェクトはGR86/SUBARU BRZの次世代モデルの先行開発ではあるものの、まだトヨタ/スバル共に次期モデル開発の正式なGOサインは出ていません。

 ただ、それを匂わす発言をした人が1人だけいました。

 それはROOKIE Racingのオーナー兼ドライバーであるモリゾウ氏です。氏は次のように述べています。

「昨年より30周以上多い周回数を重ね、次期モデルチェンジへ弾みをつけてくれました」

 次回第3戦は7月8日-9日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催されます。

 約1か月のインターバルがありますが、マシンは富士での知見を元にどのような進化を見せるのでしょうか。こちらも楽しみです。

【画像】GR86&BRZは次期モデル出る? 開発最前線を見る!(24枚)

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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