オートマ「Nレンジ」いつ使う? 渋滞での利用はむしろ「危険」!? 「ニュートラル」を使ってはいけない「理由」とは

クルマには「N(ニュートラル)」のシフトポジションがありますが、使う機会はほとんどなく、むやみに使うことも危険だといいます。その理由について紹介します。

「N」にシフトチェンジすると燃費が良くなるという「誤解」!?

 オートマチックトランスミッション(AT)のクルマを運転しているとき、「N」レンジを使うことはあまりありません。
 
 むしろ使うことで、リスクが生じる可能性もあるといいます。どういった理由なのでしょうか。

オートマのシフトのなかでも、あまり入れる機会のない「N」レンジですが、積極的に使う必要はありません
オートマのシフトのなかでも、あまり入れる機会のない「N」レンジですが、積極的に使う必要はありません

 タクシードライバーのなかには、信号待ちでしばしばシフトをNに入れる人がいます。

 また一般のドライバーでも、長い信号待ちではNレンジに入れて待機する人がいるようです。

 なぜわざわざNレンジに切り替える必要があるのでしょうか。

 その理由はいくつか考えられますが、ひとつは「燃費向上のため」だと思われます。

 Dレンジのままアイドリングしながら停車した状態は、スムーズに再発進できるよう、トランスミッションのトルクコンバーター(以下トルコン)に負荷をかけているため、燃料を少なからず消費しています。

 しかしNレンジだとトルコンにかかる負荷が軽減されるので、燃料消費が少なくて済むといわれていました。

 しかしそれは20年ほど前までの古いクルマでのことです。

 昨今のクルマには、「ニュートラルアイドル制御」という、燃費悪化を軽減する技術があります。

 そのため、Dレンジのままブレーキを踏んで信号待ちをしていても、クルマがアイドリング中であることを検知してAT内部のクラッチを切っていますので、トルクコンバーター側で発生していた負荷はなくなっています。

 必ずしも、Nレンジにしたほうが燃費も良くなる、ということではないのです。

 ただし、かつてタクシー専用車として販売されていた車種のなかには、シフトレバーをNもしくはPレンジに入れるとアイドリングストップ(エンジン停止)する機能を備え、待機時の燃費を向上させていたケースもありました。

 加えてタクシーの場合、エンジンが駆動伝達系から切り離されることで、アイドリングで発生するエンジンの「ブルブル」とした振動が遮断されます。

 長きに渡り酷使されたタクシー車両のなかには、新車時よりもエンジンやシフト、駆動系などからの振動が多く発生するものもあります。

 Nに入れるとこうした振動が軽減され、車内が快適になったような気がして、緊張感から解放される、という理由もあるようです。

 後席の乗客に対し、より快適に乗ってもらう気配りともいえますが、あまり前向きな理由とはいえません。

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