これからの「日本車」どうなる? 日系3社決算発表から読み解く自動車業界「100年に1度の変革期」の未来とは
キモはやはり本格的な「EVシフト」
今後の事業計画については、3社ともにグローバルにおける電動化の加速を示唆しています。
なかでもEVについては、主要市場の各国がEV転換を求めていることに対応するものです。
欧州では、一部は合成燃料を認めることになるとしても、おおむねEVまたは燃料電池車へと大きく転換するであろう2035年規制(エンジン車販売を禁止するゼロエミッション法案)があります。
またアメリカは、IRA(インフレ抑制法)に対応するアメリカ国内での部品調達が求められています。
そして中国では、ベンチャー企業を含めてEVへの技術革新が急激に進んでいるところで、3社ともにこれらの対応が大きな課題となることは明らかです。
![トヨタ「2023年3月期 決算説明会」の模様[2023年5月10日]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2024/05/20230510_TOYOTA_financial_results_03.jpg?v=1683863496)
そのため、例えばトヨタは2026年から、これまでとは製品企画、設計、そして製造工程を大幅に見直す次世代EVを量産することを、改めて示しました。
決算会見にタイミングを合わせて、少数精鋭の「BEVファクトリー」をトヨタ社内に立ち上げ、ITを活用した知能化を含めた、トヨタとしてこれまでに経験のないような新しい事業モデルにも挑戦する意向を改めて示しています。
日系ビッグ3以外にも、マツダやスバルなどを含めて、EVを主体とする電動化については、今(2023年)から2020年代半ば頃までが「移行期・第一段階」として捉えています。
この期間に、ハイブリッド車や各種ガソリン車・ディーゼル車など「稼ぐ力」をもとに、近未来への投資資金を着実に蓄えることで、機動的に次世代電動化や知能化の技術開発、そして量産化に向けた投資を行うという姿勢です。
そして2020年代後半から2030年代前半には、次世代電動化と次世代知能化についての「移行期・第二段階」に入る計画でおおむね一致しています。
一方ユーザー目線では、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車が今後いつまで量産され続けるのか、またはEVへの買い替え時期はいつがいいのか、といった期待と不安が重なるような時期が当面続くことになりそうです。
日系ビック3を含めた日系メーカー各社としては、「世の中が大きく変わってきている時期であり、我々としても近未来の予想が極めて難しい」ということで一致しています。
ユーザー自身が常に市場変化を敏感に捉えていくしか、対処法がないのかもしれません。
まさに、自動車産業は「100年に一度の大変革期」の真っ只中にいるという事実を、今回の日系ビッグ3の決算発表を受け改めて実感しました。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

























