物流の「2024年問題」って何? 一般消費者も無関係じゃない! ドライバーの働き方改革がもたらす影響とは
物流業界において「2024年問題」が話題となっています。2024年にトラックドライバーの働き方改革の法律が施行されるのですが、これによってどのような影響が予想されるのでしょうか。
トラック・運送業界が直面する「2024年問題」
最近、「2024年問題」という物流に関する大きな社会問題が、インターネット、テレビ、新聞など各種メディアで取り上げられる機会が増えてきています。
とはいえ、乗用車のユーザーなどの一般消費者が物流について深く考えることはあまりないかもしれません。
そのため、2024年問題といわれても、自分の生活と具体的にどう関わっているのかが分かりにくく、なんとなくピンと来ない人が少なくないと思います。
しかし、2024年問題は物流業界に直接携わる人たちに関する短期的な課題ではなく、もっと根が深い社会全体の長期的な課題だといえます。
物流の変革の必要性について、順を追って見ていきましょう。
まず、大きな動きとしては、国が「2024年問題対策への本気度」を示したことが挙げられます。
2023年3月31日、岸田総理が議長を務める、第1回「我が国の物流の革新に関する閣僚会議」が開催されました。
そのなかで岸田総理は「物流は国民生活や経済を支える社会インフラですが、担い手不足、カーボンニュートラルへの対応などさまざまな課題に直面している」と切り出しました。
そのうえで、トラックドライバーの働き方改革の法律が適用されるまであと1年となること、それによってドラックドライバーひとり当たりの労働時間が短くなることを指摘しました。
仮に、そうした社会変化に対して国や民間企業が何も対策を打たないと、物流が停滞しかねない、「いわゆる2024年問題に直面する」という説明です。
岸田総理がいう、働き方改革の法律とは、具体的にどのような内容なのでしょうか。
これは、2018年6月に改正された「働き方改革関連法」に基づき、自動車の運転業務の時間外労働で、「労働基準法」で定める上限が、これまでの「なし」から2024年4月1日以降に「年960時間」と規制されることを指します。
また、労働時間と休憩時間を合わせた拘束時間についても、「貨物自動車運送事業法」での改善基準告示という形で、1日あたり、また1か月あたりで、これまでよりも少なくなります。
例えば、1日あたりでは、これまでが原則13時間以内・最大16時間以内(かつ15時間超は1週間に2回以内)だったものが、原則13時間以内・最大15時間以内(かつ14時間超は1週間に2回以内、また宿泊を伴う長距離運行は週2回まで16時間)に制限されるのです。
こうした各種制限による対策を講じない場合、社会に大きな影響が社会に及ぶと予測されています。
例えば、制限が行われた直後の2024年度には、輸送能力は約14%不足し、そのままの状態が続くと2030年度にはなんと約34%不足するというのです。
国が2019年度データから推計したところ、不足する品目別では、第一に農産品や水産品の出荷団体が最も大きく、次いで紙・パルプ製造業、建設業・建材製造業、飲料・食料品製造業、卸売・小売り・倉庫業、自動車・電気・機械・精密・金属などの製造業、そして化学製品製造業と続きます。
地域別で、中国、九州、関東、中部、近畿、北海道、北陸信越、四国、そして東北の順になるとされています。
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