トヨタ「カムリ」も43年の歴史に幕! なぜ日本で「セダン」“続々”消滅する? 今後“生き残るセダン”の在り方とは

トヨタがセダン「カムリ」の日本国内向け生産を2023年12月で終了すると発表しました。このようにセダンは次々と消滅していますが、なぜセダンの販売を終了するのでしょうか。今回はセダンをめぐる国内や海外の事情、そして今後の展望など“セダンの近況”について解説します。

さよなら「カムリ」…日本のセダンどうなる?

 トヨタがセダン「カムリ」の日本国内向け生産を2023年12月下旬で終了します。日本で残るトヨタのセダンは、「カローラ」「カローラ アクシオ」「センチュリー」、そして「MIRAI」という状況です。

 なお、トヨタのウェブサイトでは、「プリウス」も便宜上セダンの仲間と位置付けられていますが、一般的な解釈では、特にスポーティでスタイリッシュになった新型プリウスをセダンとして見る人は少ないでしょう。

 セダンをめぐっては他の日系メーカーも、日産は「シーマ」「フーガ」「ティアナ」など、ホンダは「アコード」「グレイス」などが、気が付けばラインアップからどんどん姿を消してしまっています。

日本では生産終了となるトヨタ「カムリ」だが国外では継続販売される(画像は北米仕様)
日本では生産終了となるトヨタ「カムリ」だが国外では継続販売される(画像は北米仕様)

 こうした“日本から次々にセダンが消滅”する理由は、販売台数が少ないからに他なりません。

 日本自動車販売協会連合会によると、2022年度(2022年4月~2023年3月)の乗用車ブランド通称名別販売順位トップ50のうち、セダンはカローラが各種車系を含めた上でランクインしただけだったというのが日本市場の現状です。

 そうした中、カムリは2023年2月には49位・月販732台で食い込んでいますが、まさに消滅前の駆け込み需要といった様相です。年間を通じては販売が低迷しており、「一部のお客様には根強い人気はるものの、弊社全体で考えると販売終了は致し方ありません」(トヨタ販売店幹部)という声が聞こえてきます。

 一方で、海外に目を向けると、まだまだセダン需要が多い国や地域が目立ちます。なかでも販売台数が多いのは、アメリカです。

 日本で消滅したカムリは、北米トヨタの公表資料によると、米国での2022年カムリ販売総数は29万5201台に達しています。月にして2万5000台ですので、日本とは40倍近い差がついています。「ところ変わるとセダン人気も変わる」典型的な事例だと言えるでしょう。

 カローラについても、22万2216台となるなど、セダン不振の日本では考えらない好調な数字が並びますし、ホンダはシビックとアコードが米国で大きな販売台数を定常的に記録しています。

 こうしたセグメントを、日系メーカーではC/Dセグメントと呼びます。Cセグメントはグローバルでいうところのコンパクト(小型車)で、DセグメントはCセグメントより少し大きなミッドサイズ(中型車)といった位置付けです。

 1990年代以降、Cセグメント車が大柄化していったため、実質的にDセグメントと融合したC/Dセグメントという考え方が自動車産業界で定着していきました。

 そんなC/Dセグメントは、アメリカンライフに憧れを抱く東南アジアや、2000年代中盤以降に急激な経済が発展し始めた中国でも、それぞれの市場での中核車種になっていったのです。

 ただし、米国、東南アジア、そして中国でのC/Dセダンに対するユーザーの意識、またはイメージは少し違いがあると思われます。

 米国では使い勝手、メインテナンスコスト、リセールバリュー(下取り価格)、そして「ご近所への手前」や「出かけた先での、周囲からの目」など、総合的に考えた上で「安全パイ」というイメージが根強くあります。

 一方で、東南アジアや中国では、ステイタスシンボルというイメージが未だに残っていて、車内と車外の装飾も上級化を望む傾向があります。

 このようにセダンに対する商品イメージが多少違うにしろ、海外の各市場における主役であるセダンですが、2010年代になると各国で市場変化が進んできました。

 きっかけは、米国におけるC/DセグメントセダンからコンパクトSUVへのシフトです。北米コンパクトSUVとは、日本車だと「RAV4」や「CR-V」が相当し、ここに欧米、そして韓国の各ブランドがこぞって新型モデルを導入していったのです。

 そんな北米でのコンパクトSUVシフトの影響が、特に中国へ飛び火しました。

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