トヨタやホンダ販売店「車を買ったらもう1台プレゼント」を実施、なぜ? 各販売店が相次いで「新車プレゼント」 苦境に立つ中国事情とは
クルマを貰うか、値引きされるか、、、中国の新車ディーラー事情が過激?
ですが、これらのキャンペーンは思わぬ落とし穴があります。
それが、通常の新車購入の際に受けられる値引きや割引が存在しないという点です。
中国の新車ディーラーではこれまでよりメーカーの優遇措置に加えてディーラー独自の値引き策が存在していました。
とあるディーラーでは通常19万9800元(邦貨換算:約384万3000円)のbZ4Xを、各種値引き策を適用させて11万3800元(約218万9000円)で販売するという例も存在します。
このように、中国の新車販売において7万元(約135万円)から8万元(約154万円)レベルの値引きがあることは稀ではありません。
そこで、ディーラーは割り引かれる額と同等の販売価格を持つ新車を購入時に1台プレゼントするというキャンペーンを打ち出したわけです。
これにより、ディーラーは話題性に富むだけでなく、新車販売時の割引も行わなくて良いことに加え、購入者は新車が2台手に入れられるなど、さまざまな効果を生むわけです。
ただ、このキャンペーンは各ディーラーで用意されている枠が少なく、せいぜい多くても3枠ほどです。

また、対象車種には限りがあり、どのメーカーのディーラーでも対象となっているのは「ラインナップの主力車種」に対して「人気がない低価格帯の車種」をプレゼントする形式を取っています。
「1台プレゼント」キャンペーン以外にも、中国の大都市では非常に高額な「ナンバープレート取得費用」をディーラーが無料で肩代わりするキャンペーンが行われている例もあります。
これは広汽ホンダや広汽トヨタが自社のガソリン車を購入した客に対して行っている施策で、販売が低迷しつつあるガソリン車の販売促進を狙ったものとなります。
また、最近では電動車で現在急成長中のBYDが、特定車種に対して「88元(約1700円)を払うと納車時の支払いから6888元(約13万2500円)を割り引く」といったキャンペーンも展開されました。
このまま中国の新車販売台数が低迷続きとなれば、今後ますますディーラーは話題性に富んだキャンペーンを打ち出すことでしょう。
その場しのぎの優遇政策は健全とは言えませんが、それほどディーラーが追い詰められているという状況の現れでもあります。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。























