まだ使えるのに… クルマの「シート」なぜ交換する? 社外シートに付け替えるメリットとは?
スポーツ走行などを楽しむ方にとって、定番カスタムともいえる「シート交換」。まだ座れる純正シートを交換するのですから、それだけ大きなメリットがあるはずです。それは一体どのようなことなのでしょうか。
人間工学に基づいたスポーツシートは純正品より良い?
スポーツ走行を楽しむ人にとっては、足回りのチューニングやエンジンのパワーアップなどと同様に、定番のカスタムが「シート交換」です。十分快適な純正シートをわざわざ交換するのですから、交換によるメリットがあるはずです。
そもそもどういった理由でシート交換することがあるのでしょうか。
一般的な純正シートは「パイプヘッド」と呼ばれる、シートの形状をしたフレームにウレタンパッドを組み合わせた構造になっています。安価で丈夫な作りではありますが、万人向けなので自分の体に必ずしもフィットするとは言い切れません。
そして人間の体は、立っているときより座った状態のほうが約1.4倍ものストレスがかかっており、さらに、経年や走行距離が重なるにつれてシートはウレタンが劣化し、座り心地もホールド性も悪化してしまいます。
そこで社外品のシートの出番となります。座っても無理のない(ストレスを軽減させた)姿勢を研究した人間工学に基づいて設計され、座り心地やホールド性など目的別に設計されているのが特徴のひとつです。
社外品シート(カスタムシート)には、大きく分けて「フルバケットシート」と「セミバゲットシート」があります。フルバケットは背もたれ(シートバック)が固定されているぶんホールド性が非常に高く、スポーツ走行やレース向け。そこまでのホールド性はないもののリクライニング可能なのがセミバケットです。
社外品シートで一番のネックとなるのはその値段。例えば有名メーカーのシートでは一脚7万円からとなっており、工賃まで含めると10万円前後になることもあります。
それでもスポーツ走行で純正のホールド性に不満を感じる場合や、長時間の移動が疲れやすかったり、お尻や腰が痛くなるなどの症状が我慢できない場合は、シート交換で改善することもあります。
とはいえ、スポーツ走行用にシートを交換する人は少数だといいます。シートが体に合わなかったり、長時間走行する人などが、乗り心地改善と腰痛対策で交換するほうが多いそうです。
何度もシート交換を手がけた経験がある、栃木県の整備工場の整備士Tさんは次のようにいいます。
「以前は走行中のホールド性向上を目的としてシート交換する人もいらっしゃいましたが、最近は『腰痛対策』で交換する人が増えました。
純正シートの場合は一定の快適性を優先していて、体のホールド性が十分でないことが多いようです。また、楽な姿勢で座り続けてしまうため、逆に腰や首などに負担がかかって痛みを感じるようになるのです。
社外品のセミバケットタイプのシートはホールド性が高いうえに、正しい着座姿勢が保てるように設計されています。
最初は若干窮屈に感じる人もいますが、長時間走行後の腰への負担がかなり軽減すると聞いています」
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トヨタ「ハイエース」や日産「キャラバン」などのキャブオーバー車は前席のシートがちょうどエンジンの上に配置されてしまうため、エンジンの振動が直接座面に伝わります。
しかも、純正シートは乗降性を重視しているので、快適性もホールド性がほとんどなく、走行時の振動で腰痛に悩まされることもあり、振動対策および体への負担軽減のためにシート交換する人が多いそうです。
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