レクサス初のBEV専用モデル「RZ」を体感! フランスの道で感じた印象はいかに

さて、いざフランスで試乗するとどうなのか?

 試乗順番の関係から最初にステアバイワイヤに乗ります。

 今回の試乗コースは中央に白線の無い狭い対面通行のカントリーロード(それも制限速度は80km/h)で、すれ違いがギリギリのタイトなワインディングや欧州特有のラウンドアバウトなど、ステアバイワイヤにとってはかなり痺れる走行環境です。

 運転席に座ると操縦かんを彷彿とさせるテアリングがひと際目立ちます。

 筆者の世代なら「ナイト2000」を思い出すと思いますが、持ち替え不要だからこそ実現できた形状です。

 ワイパー/ウインカーレバー、パドルなどは独自の形状で一見使いにくそうに感じますが、どれも手を離すことなく操作が可能です。

 個人的にはいすゞ「ピアッツァ」やシトロエン「BX」のようなコンセプトだと解釈しているので好意的に見ています。

 ただ、ステアリング形状のインパクトに対してインパネ周りとのバランスは今ひとつ。

 ノーマルのステアリングも設定するので仕方ないですが、レクサス「ES」の電子アウターミラーと同じように、今後はインテリア全体で見直す必要があると思っています。

自然体で乗れる「RZ」の特徴とは?
自然体で乗れる「RZ」の特徴とは?

 リアルワールドではどうでしょうか。

 心配する気持ちがないと言えば嘘になりますが、走り始めて数百メートル、コーナーを2~3つクリアした所で、「これはノーマルステアより楽」と感じると同時に「これはRZの個性になる」と確信しました。

 ステアリングギア比は速度に応じて可変されますが、その繋がりは自然で滑らかなのでどこで変わっているかは正直解りません。

 多くの人は「微舵のコントロールが難しそう」と思うでしょうが、実際に乗ると印象はその逆で、むしろノーマルのステアリングよりも繊細なコントロールが可能です。

 ちなみに慣れのポイントはステアリングを「回す」ではなく、行きたい方向にステアリングを「向ける」と言う操作を心掛ける事です。

 Rの厳しいコーナーでは切り遅れや手アンダーの出にくさ、逆にRの緩やかなコーナーではジワーッと切りながら曲がる時のコントロール性の高さを実感。

 ラウンドアバウトのように右~左と切り返すようなシーンでも探ることはありませんでした。

 物理的にステアリングとタイヤは繋がっていないはずなのに「直結感」がノーマルステアリングより強いことに驚きます。
 凹凸やグリップの変化など路面からのフィードバックは感じるのに、不要な振動やガタは遮断されており、むしろノーマルステアよりもスッキリ滑らかな操舵感です。

 ちなみにパーキングスピードで車庫入れ/転舵を行なう時は、ノーマルのステアリングの感覚でステアリングを切ると初期の4WS(四輪操舵)のように思った以上に曲がってしまうので、コツを掴むまでは動きがギクシャクすることも。

 この辺りは「慣れる」しかありませんが、スマホの文字入力を「トグル入力」から「フリック入力」に変更した時くらいのレベル感かなと。

 要するに、慣れまではちょっと時間が掛かりますが、慣れてしまえば間違いなくこちらのほうが便利だと言うことです。

 続いて、ノーマルステアに乗り換えます。NX/RXと同じ丸形のステアリングはどこかホッとする部分もあります。

 もちろん最新のEPS制御を用いている事もあり、ステア系は軽い操舵力で超滑らかだが直結感が高く正確無比な操作が可能ですが、ステアバイワイヤを味わってしまった後だと、操作量の多さの煩わしさと手アンダーに悩まされる事に。

 そう思ってしまうくらい、ステアバイワイヤは違和感がないと言うことです。

 ステアバイワイヤばかりに気を取られてしまいましたが、ハンドリングも驚きのレベルです。

 例えるなら、目線が高い2トン近い車両重量のSUVですが、まるでスポーツカーの如く路面に張り付いて安定して曲がります。

 具体的には前後左右の姿勢変化は最小限で、コーナーの曲率に合わせて4つのタイヤのグリップ力が最適になるようにコントロールして旋回しているような感じを受けました。

 この辺りは下半身が強靭、上半身はしなやかな剛性バランスや力の連続性にこだわった「車体」とストロークすることに特化できた「サスペンション」と言う基本素性に加えて、「DIRECT4」による駆動力制御の相乗効果の賜物でしょう。

 前後駆動配分は走行状況に合わせてシームレスに変更され、ターンインはフロント寄り、コーナリング中はタイヤの接地荷重に合わせて可変、コーナー脱出時はリア寄りになっていると言いますが、これも正直いつ変わっているかは解らず。

 更に言うと機械に強制的に曲げられている感じは皆無で、より自然、よりシームレス、より滑らかな制御。つまりDIRECT4は完全に黒子に徹しており、ドライバーは「自分の運転が上手くなった?」と感じるのみ。

 開発陣は「スーパーナチュラルな走りを目指した」と語っていますが、まさにその通りの走りです。

 フットワークはバイワイヤステアとノーマルステアで基本的には同じですが、乗り比べると「Direct4」を実感しやすいのはステアバイワイヤでコーナリングの一連の流れの繋がりがより高いレベルにあると感じました。

 この辺りは、ステアリング舵角の少ないステアバイワイヤと駆動力制御を活用して曲がるDIRECT4の相乗効果が効いており、より「クルマ全体で曲がる」が実感しやすくなっているのでしょう。

 レクサスのDNAである静粛性/乗り心地も抜かりなしです。

 静粛性は「電気自動車だから、静かなのは当たり前でしょ」と思われがちですが、インバーター音や風切り音、タイヤノイズなども見事に抑えられています。

 乗り心地は車体の減衰効果に加えてFSDIIの見事な味付け、更にはDIRECT4を活用したピッチ制御なども相まって、バネ下はよく動くのにバネ上は常にフラット。

 路面の凹凸を超える際のアタリの優しさやスマートな振動収束(特に伸び方向)などは、AVS(電子制御ダンパー)要らず。「逆にAVSを組み合わせたら?」など期待はより高まります。

【画像】ついに公道試乗! レクサス「RZ」はどんなクルマ? 写真で見る!(30枚)

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