え! 「スカイライン」にハッチバック? 「クラウン」よりスゴイ! 「勘違い」されがちな“老舗ブランド”スカイラインの「本質」とは
スカイラインは「多様性」も備えた「ちょいスポーティなファミリーカー」!?
なお筆者(遠藤イヅル)は、7代目(R31型)スカイライン4ドアセダンの4気筒モデルで、もっとも安価だった「1800G(1985年式)」を所有しています。
この車にはパワーステアリングさえありません。簡素なシートは「ローレル」のタクシーモデルと同じ!
当時の価格は約125万円で、クラスが1つ下の「ブルーバード」でそれなりに装備を持つ1.6リッターの中堅グレードや、さらには「サニー」の上位モデルと同価格帯でした。
この価格設定は実によく考えられていて「ファミリーカーとしてブルーバードを買おうと思ったけど、その予算があれば、憧れのスカイラインに(たとえ装備が全然ついていなくても)手が届く」という、当時のお父さんの夢を叶えることも可能でした。
思えば、硬派な印象が強いあのハコスカでさえ、開発コンセプトは「高速化時代に相応しいファミリーカー」だったほど。
各世代とも、とんがったスポーツモデルがイメージリーダーだったため見逃されがちですが、本質は「ちょいスポーティなファミリーカー」が核だということです。
その上で、当時の日産の中でも最新鋭技術を搭載することで、「走りが楽しめるスポーティなクルマ」のイメージを高めていたのです。
豪華なハイソカー路線に転向して批判を浴びた7代目(R31型)の前期型や、元来は別車種として企画され、V6エンジン搭載・プレミアム化で賛否が分かれた11代目(V35型)もまたスカイラインそのもの。
対極と語られる8代目(R32)も、スポーティネスにあふれたスポーツモデルに昇華しつつ、ふつうのお父さん向けのおとなしい性格のグレードも存続していたことは見逃してはいけません。
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ところで前述のように、サニーやブルーバードなどと同様にあくまでも量販車だったスカイラインには、ワゴンやバン、5ドアハッチバックやディーゼルエンジン搭載モデルまでありました。当時、いかにスカイラインが日産の主軸車種だったのかがわかります。
ワゴンは「商用バンみたい」と思われてあまり売れず、5ドアも国内市場ではまだ受け入れられなかった昭和の時代にあえて展開したことに、日産がスカイラインに込めた先進性や期待の大きさも感じます。
さらに2009年には、12代目(V36型)の車種展開として、スカイライン初のクロスオーバーSUV「スカイラインクロスオーバー」(J50型)も登場しました。
FRベース・高性能で流麗なクーペルックというキャラクターは、現在の視点から見ても十分に魅力的ですが、当時はまだ今ほどのSUVブームが来る前。
同クラスに「ムラーノ」があったことや、高排気量で高価な3.7リッター V6エンジンのみの設定だったこともあってか、販売は苦戦。国内では1世代限りで姿を消してしまいました。
このように結構チャレンジングなモデルが多いのも、スカイラインが持つ先進性・多様性の一端と言えます。
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