なぜスバルは「走りの良さ」を追求する? 安全性を何より重視!「事故低減」への取り組みに迫る!
長距離を走っても疲れにくいシートを新開発!
今度は、一般道やちょっとしたワインディングロードを模した1.7kmの商品性評価路で、「XV」と新型「クロストレック」の乗り比べです。
車速を高めなくても十分に違いがわかると聞いていたとおり、40km/hから80km/hを上限に走行したところ、XVも良くできたクルマだと認識していましたが、新型クロストレックとの走りの違いは歴然としていました。
新型クロストレックは走り出しから車速をコントロールしやすく、継ぎ目など路面からの入力があったときもあまり揺すられることなく、フラットな乗り心地をキープしてくれます。
操舵時のステアリングフィールがしっかりとしていて、応答遅れも小さく走りに一体感があり、戻したときの収束も良くて揺り返しが小さく、安定していて路面の影響も受けにくいので修正舵も少なくて済みます。
取り付け剛性や身体保持の改善を図り、頭部の揺れを抑制したという新しいシートは、座った瞬間からしっくりくる感じがして、コースをしばらく走ってコーナリングを重ねるとなおのこと良さを実感します。
事前に「ぜひ着目して欲しい」と伝えられていたとおりで、これなら長距離を走っても疲労が小さくて済むことでしょう。
また、高減衰マスチック材の追加により、乗り心地にも影響があるというルーフ共振現象の収束性を改善したことで、静粛性が向上するとともに、確かに乗り心地もずいぶん良くなっているように感じられました。
途中で小雨が降り始めたのですが、雨粒がルーフを叩く音の大きさも、XVと新型クロストレックでは違っていたこともお伝えしておきましょう(もちろん新型クロストレックのほうが静かでした)。
別のプログラムでは、高速周回路でインストラクターがドライブするトレーニング車両に同乗しました。
何年か前に筆者(岡本幸一郎)は高速周回路を自分で運転したことはありますが、インストラクターの運転で同乗するのは初めて。
高速でバンクの上端を走行すると縦Gがすごいのに対し、下端だと横Gがすごいことを体感したほか、逆に車速を落してバンクを上下したときの反応や、ストレートを200km/hでレーンチェンジしても安定していることや、240km/h超からのブレーキングでもほとんどステアリングがぶれないことなどを確認しました。
3車線はレーンごとに制限車速が決まっていて、テスト時にはバンクで3台並ぶこともあるそうです。SDAで「特殊ライセンス」を保持しているドライバーは、黄線より上でガードレールからドアミラーまで数cmという単位でシビアにコントロールして走れることも助手席で体感しました。
ご参考まで、高速周回路では風を発生させる装置を持ち込んで横風の影響や、近くをトラックなどが並走しているとクルマがどのような影響を受けるかといったシチュエーションも再現して試験しているそうです。
また、併設された総合路では、定常的な測定や極低速での乗り心地なども確認します。最新のSGP(=スバルグローバルプラットフォーム)の開発においても細かいところを煮詰めるときはこちらでテストを実施するといいます。
加えて、SDAの活動の一環として、2022年より参戦しているスーパー耐久シリーズに関する成果についても報告がありました。モータースポーツは未経験であまり興味もなさそうだったメンバーも、現場に行くと最初は右も左もわからない感じだったところ、しばらくすると目の輝きが変わるというエピソードが印象的でした。
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スバルのクルマづくりの背景にあるのは、とにかく「人」です。「人」中心の車両開発を支えるのもまた「人」であり、それにより実車の完成度が高まることは、走行安全の観点でも有益です。
いつの日かスバルの悲願である死亡交通事故ゼロを本当に実現できるよう我々も願ってやみません。
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