クルマがまっすぐ走らない!? 「アライメント」が原因かも? ホイール角度調整が重要なワケとは

タイヤを交換した直後やホイールをインチアップしたとき、「アライメントを調整したほうが良い」といわれることがあります。具体的にどのようなことをするのでしょうか。

走行性能を最大限に引き出すために重要な「アライメント」

 タイヤ交換やホイールのインチアップのほか、足回りのアクシデントなどでサスペンションまで修理するとき、「アライメントを調整したほうが良い」といわれることがあります。
 
 足回りの調整作業らしいということは何となくわかるのですが、実際は何をどうするのでしょうか。

アライメントが狂うと走行性能に影響がでる
アライメントが狂うと走行性能に影響がでる

「アライメント」とは、「ホイールアライメント(アラインメント)」の略で、ホイールの取り付け角度の調整作業全般を指す言葉です。

 クルマは、エンジンなどのパワートレインが生み出した動力がシャフトなどを経由して車軸に伝わり、ホイールハブで固定されたホイールとタイヤを回転させることで走行します。

 また、フロントにはハンドル操作を担うステアリング系統があり、こちらもホイールとタイヤによってその役割を果たしています。

 そしてホイールを取り付ける角度によって、本来持っている走行性能を引き出せたり、乗り味や直進安定性、コーナリングスピードなどが変わってきます。

 この角度が悪いとタイヤの偏摩耗(均一に接地せず、どちらか片方が早く摩耗してしまうこと)が発生したり、走行中にハンドルが左右どちらかに取られるなどでまっすぐ走らないことや、ブレーキングで挙動が安定しなかったりします。

 そのため、適正または自分が望む性能を引き出すためにアライメント(角度調整)が必要な場合もあるということです。

 ちなみに、どんなクルマでもアッパーアームやロアアームなどの足回りパーツをシャシに取り付けるときにゴム製のブッシュを挟むことで、ダイレクトな衝撃や振動を緩衝させています。

 しかしゴム製ブッシュは走行によって激しい負荷がかかったり、経年によって劣化して切れることや変形してしまうこともあり、そうなるとホイール・タイヤの取り付け角度に微妙なズレが生じてしまうほか、ボディやシャシの歪みが出てしまうこともあるのです。

 このズレを補正する目的で行われるのがアライメント調整であり、新車時に近い適正角度に調整することでタイヤのロングライフや燃費改善、コーナリングを含む走行中の挙動改善、スムーズな走りを実現できるようになるとされています。

 車軸に対してホイールとタイヤが適正な角度で取り付けられるように調整する作業であるアライメントですが、調整できる角度は主に「キャンバー角」「トー角」「キャスター角」の3種類があります。埼玉県の現役整備士F氏に聞いてみました。

 キャンバー角は、クルマを正面から見たときに、タイヤが地面に対して設置している角度のことです。垂直に取り付けられているならキャンバー角は0度ということになります。これに対してハの字のようにタイヤ上部が内側に、下部が広がっているような取り付けは「ネガティブキャンバー」、その逆は「ポジティブキャンバー」といいます。

「キャンバー角は、直進安定性とコーナリング性能(旋回性能)に関係してくる角度で、レーシングカーなどがネガティブキャンバー(ネガキャン)になっているのは、コーナリング中のグリップ力を高めるための措置です。

 ただしタイヤは偏摩耗しやすくなるため、一般的には前輪が0~3度程度のネガキャン、後輪は0度にするのが一般的です」(F整備士)

 また、クルマを上から見たとき、ボディに対してタイヤを取り付ける角度をトー角と呼びます。まっすぐの状態は「トーゼロ」、前方向が内側に傾いている状態を「トーイン」、逆に開いている状態を「トーアウト」と呼ぶのですが、トーインにすると直進安定性が向上し、トーアウトにするとハンドリングが向上します。

「これも車種によって角度はさまざまなのですが、前輪は直進安定性を考慮したトーインに、後輪は原則トーゼロになっていることがほとんどです」(F整備士)

 さらに、クルマを横から見た状態で、「キングピン軸(左右それぞれのハンドルの回転の中心となる軸)」の傾き角度をキャスター角と呼びます。これが前方に移動していると直進安定性が高まりますが、旋回性能は悪化します。

「アメリカンバイクなどで見かけるカスタムで極端にフロントフォークを伸ばした『チョッパー』というカスタムがありますが、あれはコーナリングで小回りが効きませんが、それよりもハイウェイを真っ直ぐ走る直進安定性と見た目の低さを狙ったカスタムということです」(F整備士)

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