昔から話題!? “目立つ”ための「イキリダッシュ」なぜ事故る? 「思わず急加速」事故にならないための対処方法とは
先日、俗に「イキリダッシュ」とも呼ばれる急加速をした車両がコントロールを失い、コンビニ駐車場に突っ込んでケガ人が発生するという事故がSNSなどで話題となりました。イキリダッシュとはどのような行為で、何が危険なのでしょうか。
イキリダッシュって何?何が危険?
先日、とあるクルマイベントから退出したクルマが、周囲に見せつけるような急加速をし、コントロールを失ってコンビニ駐車場に突っ込んでケガ人が発生するという事故が話題となりました。
これはいわゆる「イキリダッシュ」とも言われる行為が原因ですが、イキリダッシュとはどのような行為で、何が危険なのでしょうか。
イキリダッシュとは、イベントの退出時や、クルマ好きが集まるパーキングエリアの出口などギャラリーが居る場所で、無意味な空ぶかしや急加速をするものです。
こういった行為によってコントロールを失う車種の特徴としては、後輪駆動、もしくは後輪への駆動力が高い四輪駆動車が中心となっており、急激な加速によってリアタイヤのグリップが失われることによってスピン状態に陥るというのがほとんど。
今回の事故に関しては、右折で駐車場から道路に出たタイミングでアクセルを踏み込んだことでセンターライン方向にスピン状態に陥り、反射的に逆側にステアリングを切ったことでグリップが回復した瞬間、ステアリングを切った側(つまりコンビニ側)へ車両が進んでしまったと見られます。
今回は意図的にアクセルを踏み込んでいるため、擁護する余地もありませんが、普通に運転していても急な路面の変化などでコントロールを失う可能性はゼロではありません。その場合はステアリングやアクセル操作で立て直そうとするのではなく、まずはブレーキを踏み続けるというのが被害を最小限に留める有効な手段となります。
最近のクルマのほとんどにはABS(アンチロックブレーキシステム)が備わっており、力強くブレーキを踏み込むことでスピンの勢いを抑えることができるため、路外に飛び出して更なる被害を生む可能性を下げることができるのです。
SNSなどで今回の事故映像を見る限り、ブレーキを踏むことなくステアリング操作だけで対処しようとしたことで、被害を拡大させてしまったと言えるでしょう。
モータースポーツの世界で活躍する一流ドライバーであっても、スピンからクラッシュを喫してしまうことがあることからも分かるように、意図しない急なスピンにおいてはプロであっても確実な対応をするのは難しいもの。
しっかり整備された路面のサーキットであってもそうなのですから、段差やマンホール、道路のつなぎ目など目まぐるしく路面状況が変わる一般公道では、スピンするような走り方をしないというのが安全運転の大前提となるのです。
イベントなどに参加して気分が高揚し、つい愛車のアピールをしたくなってしまう気持ちも分からなくもないですが、今回のような事故が起きてしまっては目も当てられません。
厳しいようですが、そもそも他人はあなたのクルマにそこまで興味はなかったりするもの。そして何より、そこまでクルマに興味のない大多数の人からすれば、暴走行為を行うクルマなど単に白い目で見られるだけでしょう。
最近は、クルマイベントの退出シーンを動画に撮影して、動画共有サービスにアップしている人も数多くいます。
もし動画カメラを構えた人がいるのであれば、むしろその目の前をゆっくり走ることで、愛車を長い時間映像に残すことができます。そう考えれば、イキリダッシュをしてすぐにフェードアウトしてしまうのは、むしろもったいないということになります。
そして今回のように、撮影をされている最中にスピンやクラッシュをしてしまえば、その動画はネットの海に一生残るデジタルタトゥーとなりかねません。クルマ趣味を長く続けるためにも「イキリダッシュ」は百害あって一利なしと言えるのではないでしょうか。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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