“救急車が来たら優先すべき!” 実は歩行者に「道を譲る義務」なかった!? まさかの決まりとは?
街中で救急車やパトカーなど、緊急自動車が走行する様子を見かけることがありますが、歩行者として道路を横断中に遭遇した場合、どのように対応すべきなのでしょうか。
緊急自動車が来たとき、歩行者はどうすべき?
街中では、救急車やパトカーなどがサイレンを鳴らしながら走行する様子を見かけることがあります。
では、もし横断歩道を渡っているときに遭遇した場合、歩行者はどのように対応すべきでしょうか。
2023年2月上旬に、兵庫県芦屋市において会社役員の男性が、急病の男児を乗せた救急車の搬送を妨害したとして公務執行妨害の疑いで逮捕されたと報じられ話題になりました。
この事案に対してSNS上でも「自分の家族が搬送される側だったら・・・と考えたことはないのか」「コトの重大さを分かってほしい」といった厳しい意見が相次いでいます。
こうした救急車を故意に妨害するのは極端な事例といえますが、救急車が横断歩道を通過する際にも歩行者が道を譲らないという光景がたびたび見受けられ、多くの人から苦言を呈する声があがっています。
緊急用務のため、赤色ランプを点灯させ、サイレンを鳴らして走る救急車や消防車、パトカーなどのことを「緊急自動車」と呼びます。
この緊急自動車についてはその特性上、通行禁止道路を通行したり、追い越し禁止場所での追い越しが可能など、道路交通法第41条によってあらゆる特例が規定されています。
また、緊急自動車が現場にスムーズに駆け付けられるよう道路交通法第40条では「緊急自動車の優先」が明記されており、緊急自動車が接近してきたとき、クルマなどは交差点とその付近において、交差点を避けて道路の左側に寄り一時停止すること、またそれ以外の場所では道路の左側に寄って進路を譲らなければならないと決められています。
この規定に従わなかった場合には、「緊急車妨害等違反」として違反点数1点、普通車で反則金6000円が科される可能性があるほか、仮に緊急自動車の走行を妨害したことによって患者が亡くなるなどした場合、因果関係が証明されれば損害賠償責任を問われるケースもあります。
道路交通法では車両に対してこのような義務が設けられていますが、歩行者については条文で触れられていません。
では、歩行者が緊急自動車に道を譲る義務はあるのでしょうか。
結論からいうと法令上、歩行者が道を譲らなければならないと明記されているのは消防車のみです。
消防法第26条には、「消防車が火災の現場に赴くときは、車馬及び歩行者はこれに道路を譲らなければならない」と定められています。
では、歩行者が横断歩道を渡っているときに消防車以外の緊急自動車が近づいてきた場合はどうでしょうか。
緊急自動車には、一般車両と異なり様々な特例が認められていますが、実はその特例には道路交通法第38条第1項後段に規定されている「横断歩行者等がいる場合の一時停止」の免除は含まれていません。
つまり法令上は、横断歩道や自転車横断帯を渡っている、または渡ろうとしている歩行者や自転車がいる場合には、緊急自動車であっても横断歩道等の前で一時停止し、かつ、その歩行者等の通行を妨げないようにしなければならず、歩行者が道を譲る義務はないということになります。
また、聴覚障害などでサイレンの音が聞こえない、聞き取りづらいという歩行者がいることもあり、救急車やパトカーが緊急走行で横断歩道付近を通行する際には、歩行者がいないか十分に注意を払うとともに、マイクを活用して呼びかけをおこなっています。
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前述のように、法令上は消防車以外の緊急自動車に対して歩行者が道を譲ることは義務にはなっていないものの、緊急自動車の中には傷病者を搬送する救急車、血液を運搬する血液輸送車、ただちに助けが必要な事案に駆け付けるパトカーなど、人命に関わる業務に携わっているケースが多くあります。
法令で定められているかどうかにかかわらず、思いやりの気持ちを持ち、モラルとして道を譲ることを心がけることが大切といえます。
歩行者は救急車に道を譲る義務はないと書かれています。
記事では消防法26条で消防車のみとされていますが、消防法35条に救急業務についての記載があり、ここでは救急業務について消防業務の記載を読み替えるとなっているので、救急車についても道を譲る義務が発生すると解釈できます。
ご確認いただけますでしょうか。