日産は東京オートサロン2023（2023年1月13日から15日開催）で、商用バン「キャラバン」のコンセプトカーとして「Powered Base for PRO（パワードベースフォープロ）」を参考出品しました。
　
　パワードベースフォープロは、さまざまな現場のプロ（職人）をサポートする基地を実現するコンセプトカー。「工事現場に向かう親方と弟子」をテーマに、移動時や休憩中に快適に過ごせるクルマを目指しています。

　ベースとなるのはディーゼル・4WDのキャラバン。ステルスグレーのボディカラーにゴツゴツした塗装が施されており、デザイン性と機能性を両立したクールでカッコいいキャラバンに仕上げました。

　パワードベースフォープロ最大の特徴は、日産の電気自動車「リーフ」（初代）から取り出した再生バッテリーをポータブルバッテリーとして活用していることです。ルーフやリアガラスに設置された太陽光パネルで発電した電力をポータブルバッテリーに充電し、車内の電力を賄うというのだから驚きです。

　夏の暑い時期など、カーエアコンを効かせるためにエンジンをかけっぱなしにする必要がありますが、パワードベースフォープロはファンやスポットクーラーをポータブルバッテリーで動かすことができることから長時間のアイドリングが不要となり、騒音や振動を抑えつつ、燃料の消費を気にすることなく車内で過ごすことが可能。

　また、車内にはテーブルや回転＆リクライニングするイスを完備し、事務作業をしたり、イスに座って仮眠できる空間が広がるほか、パソコンや携帯の電源、電子レンジ、冷蔵庫といった電化製品もポータブルバッテリーから電源をとることができるなど、“走るオフィス”としての機能を持たせました。

　なお、天井には冷却性能を持つ塗料が塗られていたり、天井裏に光除菌が仕込まれていることから、涼しくて除菌された空気で満たされた快適な空間を実現するといいます。

　リアには仕事道具を整理整頓するスペースを確保。重たいものはスライドレールを使って格納可能なほか、汚したくない脚立なども車内にキチンと収めることができます。

　車両後部はクローゼットのような作りになっており、電動工具や作業服、ヘルメットを収納して、現場についてすぐに仕事を始められるようになっているのもポイント。

　日産の担当者によると、「パワードベースフォープロにはポータブルバッテリーが4つ搭載されていて、それぞれ役割を持って動いています。このバッテリーを使ってさまざまなことができ、職人が楽しく仕事ができるクルマに仕上げました」とのことです。

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　ポータブルバッテリーは日産・フォーアールエナジー・JVC ケンウッドの3社で共同開発しているもので、厳しい環境で作られたクルマ用のバッテリーをリサイクルして使っていることから性能が高く、自然放電もほとんどないというのが普通のバッテリーとは異なるところだといいます。

　仕事だけでなく、アウトドアレジャーなどで車中泊する際や、災害時などさまざまなシーンでポータブルバッテリーが活用されることが期待されます。