新型セレナの斬新「スイッチ式シフト」じつは「日産の狙い通り?」 シフトレバー廃止でも「心配なし」といえる理由
強いインパクトに思わず反応したらそれは「日産の狙い通り」!?
そして、スイッチのシフトは「日産としては初」となりますが、世界初ではなく、他メーカーではすでに広く採用されているのです。
日系メーカーでいえば、ホンダが数多くの量産モデルで採用しています。

日産よりも大ぶりですが、ホンダでは「ホンダe」「ステップワゴンe:HEV」「Z-RV」「シビックe:HEV」のシフトは、すでにスイッチ式(ボタン式)になっています。
海外メーカーでも、スイッチのシフトは、それほど珍しいものではありません。ダイヤルとして回すタイプのシフトスイッチも存在します。
近年、こうしたスイッチ式シフトが増えたのは、クルマの電気制御の進化が理由となります。いわゆる「バイ・ワイヤ」技術です。
トランスミッションというギアを、リンクで物理的につないで操作するのではなく、電気的にスイッチで操作できるようになっているのです。
トランスミッションをリンクで物理的に操作するには、どうしても操作レバーの配置に物理的な制約が生じます。一方スイッチなら、どんな場所にも配置することができるのです。インテリアのデザインの自由度が一気に高まることになります。
そうしたインテリアデザインの自由度を活かしたのが、今回の「セレナ」のスイッチシフトです。
日産が新型「セレナ」の発表時に行ったプレゼンテーションでは、スイッチシフトのことが「先進感」「すっきりとした見栄えのよさ」と説明されていました。
プレスリリースにも「すっきりとした見た目」と「わかりやすい操作性」だとあります。シフトをスイッチにしたことで、「先進感」や「すっきり」「わかりやすさ」が演出されているというのです。
確かにツルツルのセンターコンソールに並ぶスイッチという見た目は、インパクト大でした。だからこそ、「それって、大丈夫なの?」と心配になってしまったわけです。
しかし、冷静になって考えれば、心配になるほど強い印象を残すことができたということ。これこそ、日産の狙いだったのでしょう。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。






















