「クッションふっかふか!」 80年代大流行“ハイソカー”の「まるでソファ」なゴージャスシートはなぜ消えた!?

スポーツセダン「スカイライン」でさえ「ふっかふかシート」の時代があった!?

 マークII 3兄弟が大ヒットしたこともあって、最大のライバルだった日産「ローレル」はもちろんのこと、その兄弟車だった「スカイライン」の一部グレードまでもが、「ルーズクッションシート」と称した豪華な内装を誇っていました。

 しかも、ファミリーカーの「ブルーバード」にV6エンジンを積んだ「ブルーバードマキシマ」や、大衆車「サニー」を高級に仕立てた「ローレルスピリット」、そしてのちの「プリメーラ」につながる「スタンザ」なども豪華に見えるインテリアを売りにしていたほどです。

 1960年代から70年代ほどではないものの、現代のクルマに比べれば表面がやわらかくクッションもふかふかで、座った印象もソファのよう。

 ほどよい広さの室内空間と相まって、絶妙な居心地の良さを備えていました。

「ふっかふかシート」全盛の時代には、スポーツセダンとして人気を博した日産「スカイライン」にもこんなシートが設定されていました[写真は6代目スカイライン(R30型)の上級グレード「GT-EXパサージュ」]
「ふっかふかシート」全盛の時代には、スポーツセダンとして人気を博した日産「スカイライン」にもこんなシートが設定されていました[写真は6代目スカイライン(R30型)の上級グレード「GT-EXパサージュ」]

 しかし1980年代末から1990年代に入ると、これらの豪華な内装やふかふかのシートは次第に廃れ、高級感や派手な意匠よりも、デザインや素材の良さで上質さをアピールするようになりました。

 筆者(遠藤イヅル)の印象では、6代目ローレル(C33型/1989-1993)、7代目セドリック(Y31型/1987-1991)など一連の日産車から、そのイメージを強くしているように思います。

 ルーズで柔らかめだった表皮もパンと張るようになり、沈み込みの少ない硬めの座り心地に変わっていきました。

 その理由は、1990年代頃に起こった国産車の欧州車志向も関係していると思われます。

 乗り心地は良いがハンドリングはイマイチという旧来の価値観から、高級車でも足は硬めで操縦性の良さが重視されるといったように、メーカーの開発思想も変わってきた時期でした。

 身体がコーナリングで保持できないルーズな着座感のシートよりは、サイドサポートがしっかりした、硬めのシートが好まれるようになったのです。

 また表皮も、柔らかいベロア調やモケットから、トリコットやジャージ素材が多用されるようになったことも、ふかふかの着座感が消えた理由のひとつでしょう。

 かつては「柔らかくてふかふか」が座り心地の良いシート、と呼ばれた時代もありましたが、現代では、座り心地の良いシートでも硬めのタイプが多くなりました。

 シトロエンなど一部のメーカーのシートは、いまも柔らかさを強調していますが、それでも以前のようなふかふかさは得にくくなっています。ハイソカーが備えていたようなゴージャスでふかふかなシートは、二度と出てこないかもしれません。

 パワートレーンや外観デザインが変化していくのと同様、内装の世界も、時代や流行に合わせて大きく変わっていることがわかります。

 今後はどのようなシートや内装が出てくるのでしょうか。

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Writer: 遠藤イヅル

1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。

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