「幻の首都高」8号線は存在した!? たった100mの「忘れられた存在」 将来の廃止も決定
都心の道路交通で重要な役割を担っている「首都高」。さまざまな路線がありますが、じつは「8号線」が案内には存在しません。
目立たない「首都高8号線」は将来の廃止を予定?
東京都心をはじめ、神奈川や千葉、埼玉を結んでいる首都高速道路(首都高)。ふたつの環状線や湾岸線、そして放射状に伸びる路線には記号や番号が振られています。
しかし、「8号線」がないことに気づく人もいるのではないでしょうか。
首都高の路線図のなかで東京を走る路線の番号を順に追っていくと、1号羽田線から2号目黒線と続き、6号向島線・三郷線、7号小松川線と順番に番号が振られていますが、その次は8号線ではなく9号深川線であり、10号晴海線、11号台場線と続いていきます。
首都高8号線が「欠番」であることについて、「湾岸線の『B』と紛らわしいから」などという噂もあるようですが、じつは「8号線」は存在します。
都心環状線の京橋JCTから、首都高とは別会社の東京高速道路(KK線)との接続地点である白魚橋料金所までが首都高8号線なのです。
この区間はたった約100mしかなく、すぐに走りきってしまう距離であるため、利用者に対しては8号線という案内はしておらず、都心環状線の一部として案内されているようです。
そんな「忘れられた存在」ともいえる首都高8号線ですが、なんと「出入口を含めて全線廃止」することが決まっています。
2022年12月に東京都が公表した「東京都市計画道路 都市高速道路第1号線等の変更案及び環境影響評価書案」によると、8号線の廃止は日本橋川周辺の景観や環境を改善する取り組みが関係しています。
2014年の首都高大規模更新計画や2016年の国家戦略特区の都市再生プロジェクトといったプランが立案されたことで、現在、日本橋の上空にある首都高の地下化を実現し、歴史ある日本橋の景色を守る方針が決まりました。
2018年に都心環状線の日本橋エリアを地下化する計画が取りまとめられたことで、2020年から実際に地下化工事に着手しています。
この地下化計画では江戸橋JCTの構造変更に伴い、神田橋JCT方面から銀座方面へ向かうクルマは八重洲線・KK線を通すことにしました。
しかし大型車はKK線を通行できないため、新たなルート確保が必要になります。そこで、八重洲線と都心環状線を東西につなぐ「新京橋連絡路」を整備して新たな都心環状ルートを造ることとなったのです。
しかし一方で、新京橋連絡路が開通してクルマの流れが連絡路経由に転換すると、既存のKK線や8号線の存在意義がなくなってしまいます。
このため東京都は2021年3月に、KK線の再生や活用に関する方針を策定。KK線は「歩行者中心の公共的空間」として再生し、道路としての役割を終えることになりました。
KK線の歩行者空間化は2020年代中頃の着手を予定しており、その後2035年度に日本橋区間の地下開通を目標としています。
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このように首都高8号線は存在しますが、その距離の短さからほとんど目立たない存在であるうえに、将来の廃止も決定しています。
そんな「悲運の路線」に思いを馳せつつ、東京の街並みの変化を楽しみながら首都高ドライブをするのも楽しいかもしれません。
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