トヨタの本気見えた!? 新型「ハイラックスEV」の底力に驚き! 世界最速試乗で感じた凄さとは
ピックアップトラックというよりSUVに近い乗り心地?
ハイラックスレボBEVのフットワークにも驚きです。
ステア系は油圧式から電動式に変更。操舵力は油圧式よりかなり軽めの設定ですが、直進時の座りの良さや操舵した際の応答性/正確性の良さは別格。
手アンダーも出にくいので、これは是非ともベース車にも採用してほしいアイテムです。
ハンドリングは良くいえばワイルド、悪くいえば荒々しさがあるベース車とは別格で、ワークホースにしておくのはちょっと勿体ないと思ってしまったくらい洗練されています。
バッテリーを床下搭載により低重心化や前後バランスの適正化が効いているようで、空荷にも関わらず商用車特有のリアが跳ねて落ち着かない印象はないのはもちろん旋回時の車両の姿勢も安定しており、前のめりでフロントタイヤに依存した走りではなく4輪で上手に曲がっているのがよく解ります。
車両重量はかなり重いはずですが、乗っていると軽快な上に無駄な動きが出ないのでピックアップトラックであることを忘れる一体感です。
乗り心地も凹凸判定機のような突っ張った印象がなく足がよく動いている印象で、20インチタイヤ&ホイールを履いていることを考えればレベルは高くピックアップトラックよりもSUVに近い印象でした。
クルマとしての完成度の高さはもちろん、トヨタのBEVに対する“本気度”が少し見えたようにと感じました。
ハイラックスのBEV化はメインマーケットであるタイの電動化事情に対応するためには欠かせない存在というのが大きなミッションですが、筆者はそれだけではないと分析しています。
ハイラックスはタイの国民車であると同時に世界で発売されるグローバルモデルになります。
ランドクルーザーほどではありませんが、ワークホースとして世界中のあらゆる地域・道で使われることを想定したクルマ作りがおこなわれており、それが高い評価を得ています。
そんなハイラックスの名を冠したBEVを世に出す本質は「命を支えるBEV」に向けた挑戦がスタートした解釈しています。
その一つがワークホースとして絶対に譲れないフレーム構造を活かしながらBEV化させたことでしょう。
つまり、信頼性/堅牢性と電動化の融合というわけです。
もちろん、現時点では航続距離や価格の問題がありますが、個人的にはトヨタのBEV戦略が“全方位”であることを明確にする重要な役割を担った1台だと思っています。
現時点では乗用ではなく商用、それも近距離の小口配送を想定ということで、まずはシングルキャブの後輪駆動モデルから展開がスタートするようですが、技術的にはキングキャブやダブルキャブも可能。
さらにフロントにモーターをプラスした4WDモデルも検討されているといいます。
ちなみにタイのユーザーには平日は渋滞を避けるためにバイク移動、休日に趣味のクルマとしてハイラックスを楽しむというカーライフをしている人も多いと聞いているので、今後の展開によっては大きく“化ける”可能性も大です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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