バブル期のワゴンブームをけん引! 大ヒットのスバル「レガシィツーリングワゴン」は何がスゴかった?
日本にステーションワゴンという文化を根付かせたスバル「レガシィツーリングワゴン」。それまでもステーションワゴンは存在しましたが、レガシィがワゴンブームの切っ掛けになりました。
大ヒットモデルとなった「レガシィツーリングワゴン」
今日では定番のボディスタイルとなったステーションワゴン(以下、ワゴン)。1960年代には日本でも登場しているのですが、なかなか定着せず一部の愛好家のためのクルマでしかありませんでした。
それというのもワゴンは長らく商用車登録のライトバンとボディを共有するモデルがほとんどだったため、「マイカー感がない」「仕事気分が抜けない」と評判があまり良くなかったからです。
そんななか、1989年にライトバンをラインナップしない、ワゴン専用ボディを採用したスバル「レガシィツーリングワゴン」が登場しました。
折からのバブル景気とRVブームの後押しもあり同車は大ヒットを記録。その結果、数多くのライバル車を生み出し、日本にワゴンブームを巻き起こしたのです。
そんな歴史的なモデルでもあるレガシィツーリングワゴンとは、いったいどんなクルマだったのでしょうか。
それまでの「レオーネ」に代わり新たなスバルの主力となるべく1989年に登場したアッパーミドルが初代レガシィです。セダンだけでなくワゴンも用意するのはレオーネ同様ですが、歴代レオーネにあった商用バンをラインナップせず、名称も「ツーリングワゴン」とすることでパーソナルなクルマであることを印象付けています。
5ナンバーサイズのボディはスクエアでけれんみのないスタイリング。前後のブリスターフェンダーがスポーティさをアピールし、ワゴンにはレオーネ譲りの2段ルーフが採用されました。
スバルが得意とする水平対向エンジンや4WDを採用するのも特徴のひとつ。新開発されたエンジンはすべて4気筒で、1.8リッターと2リッターの自然吸気および2リッターのターボをラインナップします。海外では2.2リッター自然吸気も設定され、後に日本へも導入されました。
当初ターボはセダンの5速MT(220馬力)しか選択できませんでしたが、ATとのマッチングを重視したディチューン仕様がおよそ半年遅れで追加され、ワゴンでも選択できるように。このハイパワー4WDワゴン「GT」の登場を契機に「レガシィ」はヒットを記録し、セダンよりワゴンの販売台数が多いという異例の人気モデルへと成長したのでした。
継承と熟成をテーマに開発された2代目レガシィが登場したのは1993年のこと。バブル期に設計された当時のライバルたちが軒並み排気量とボディを拡大しているように、レガシィもリアシートの居住性向上を狙い全長を60mm、ホイールベースを50mm延長しています。
それでも5ナンバーサイズに収まっていることと、中心となるエンジンの排気量を1.8リッターから2リッターに据え置いたことが「扱いやすい」と好評。結果的に初代を大きく超えるヒットに至りました。
とくに注目されたのが、シーケンシャルツインターボに進化した2リッターのターボモデルです。
後期型の「GT-B」グレードは、2リッターの量産車としては世界で初めて280馬力を達成。このモデルの成功はライバルを大いに刺激し、ハイパワー4WDワゴンが各社から発売され一大ムーブメントが巻き起こりました。
忘れてはならないのが、セダン、ワゴンに続く「レガシィ」のもうひとつの柱となった「グランドワゴン」の登場です。
グランドワゴンはワゴンボディをベースに最低地上高を拡大してオフロード車のテイストを与えたクロスオーバーSUVの先駆け的な存在。
後に「ランカスター」、「アウトバック」へと名称変更され、その後継が現在日本で販売されている唯一のレガシィとなっています。
レガシィが人気だったのは、デザインの良さと使い勝手。
そして、ハイパワー四駆だったから。
後出しジャンケンメーカーも太刀打ちできないほどの人気でしたが、自らアメリカ一本足打法に舵を切ったレガシィはスバルユーザーさえそっぽを向くブサイクデザイン。
慌ててレヴォーグを作ったくらいですから。
スバルに限らず日本を見捨てて海外輸出中心になった結果、デカくなった儲からない軽自動車が大躍進すると言う皮肉な結果に。