洗車で「メラミンスポンジ」なぜ使っちゃダメ? 100円グッズを活用するクルマ掃除術とは
洗車をするとき、意外にも100円ショップのグッズが役に立ちます。どのようなグッズを使えばお財布にもクルマにも優しい洗車ができるのでしょうか。
パワフルに汚れを落とすメラミンスポンジで洗車はNG
多くの商品が値上げラッシュとなるなか、100円ショップは庶民の強い味方。今やどの街にもあり、家庭用の備品などを安価で購入できるとあって利用される機会も多いと思います。
そんな100円ショップのグッズは洗車に使うことはできるのでしょうか。塗装や板金も手掛けるメンテナンスのプロ、整備士のT氏に聞いてみました。
まず、洗車グッズに求められるものを考えてみると、「誰でもかんたんに扱える」「洗車が楽にできる」「クルマに傷をつけにくい」といったことがポイントとなりそうです。
そういった洗車グッズはカー用品店で大量に販売されていますが、それではいつも通りの洗車で終わってしまいます。
今回のテーマは「100円ショップで買えるグッズでワンランク上の仕上がりを目指したい」というもの。そんな便利グッズを探してみました。
まず考えたのが、「メラミンスポンジ」です。水だけで汚れを落とすと評判で、便利グッズの代表格ともいえる商品。
これならたいていの汚れが落とせるのではと思ったのですが、T整備士いわく、メラミンスポンジはスポンジの形状であってもスポンジではないそうなのです。いったいどういうことでしょうか。
「形状こそスポンジのようですが、実際は原料となる『メラミン樹脂』を発泡させたもので、きめ細かい網目状の骨格構造となっていますが、実はとんでもなく硬度が高い(硬い)んです。
アレでクルマのボディを磨いたら傷だらけになってしまうほどの研磨力を持っているんです」
メラミンは物質の硬さを表す「モース硬度」では「4」。「0.5~1」が黒鉛、「2」が石膏や岩塩、「2.5」が純金、「3.5」が十円硬貨と同程度となり、「4」が真鍮(しんちゅう)や大理石とされており、メラミンスポンジはほぼ大理石と同じ硬さでゴシゴシできる形状になっているのです。
確かに根深い汚れも落ちるでしょうが、大理石でクルマのボディを擦ったらどうなるかは、考えるまでもありません。
「それほど硬いものでボディの塗装面を磨くとあっという間に塗装が削り取られてしまいます。
メラミンより硬い鉄やニッケル、エナメルなどを磨くのには適していますが、アルミホイールの原料となるアルミですら2.9のモース硬度しかないので、アルミホイールもゴシゴシ傷をつけてしまうということになります。
結果としては洗車にはメラミンスポンジは不向きというか、使わないほうが良いということになります」(T整備士)
しかし、汚れをゴシゴシ消しゴムのように削ぎ落とすメラミンスポンジのパワーを、クルマのほかの部分の洗車に使うことはできないのでしょうか。
「考えられるとしたら、経年劣化で白濁した樹脂パーツですかね。表面を均一に削ってしまえば、きれいな樹脂部分が現れます。
ただし市販の樹脂用艶出し剤などでも艶は復活しますので、無理に使わなくてもいいかもしれませんが。
もうひとつあるとすれば、撥水コーティング前に窓ガラスの表面を磨くときは有効です。ガラスのモース硬度は5程度なのでメラミンで傷つくこともないでしょうし、ある程度の油膜などは削ぎ落とすことができますが、くれぐれも取り扱いには注意してほしいです」(T整備士)
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