マツダが「名前を変えた」!? モータースポーツ活動が新たに名乗る「マツダスピリットレーシング」の狙いとは

マツダスピリットレーシングは「モータースポーツ」に特化したものではない

 ただし、マツダスピリットレーシングは、モータースポーツに特化したものではない、という共通認識をマツダ本社役員、マツダ社員、そしてマツダOBの皆さんが持っていることを今回の取材で強く感じました。

 モータースポーツは、あくまでもマツダをもっと好きになってもらうためのキッカケというイメージです。

往年の名車「コスモスポーツ」も勢ぞろい! こうした歴史に触れることもマツダの「スピリット」をより深く理解するきっかけのひとつになる[撮影:桃田健史]
往年の名車「コスモスポーツ」も勢ぞろい! こうした歴史に触れることもマツダの「スピリット」をより深く理解するきっかけのひとつになる[撮影:桃田健史]

 マツダには現在、2シーター小型オープンスポーツカーの「ロードスター」から、新登場の上級SUV「CX-60」まで、スポーツ性重視からファミリー志向、高級志向まで、幅広いモデルラインアップを取り揃えています。

 そのなかで、例えばロードスターに今後、マツダスピリットレーシング特別仕様車が登場する可能性も十分に考えられますが、だからといって「CX-5」にはそうした仕立てをするというイメージでもないようです。

 マツダが一丸となって、新しい時代に向けたチャレンジをしている精神(スピリット)をマツダを愛するユーザー、またはこれからマツダ車を選ぼうかという人たちに向けて発信するのが、マツダスピリットレーシングというブランドなのです。

 だからこそ、コロナ禍の影響で3年ぶりの開催となった「マツダファンフェスタ イン岡山」では、「マツダスピリットレーシング 共に始めよう」をテーマに掲げました。

 また運転免許を持たない若い世代を含めて、マツダと触れ合う「倶楽部 マツダスピリットレーシング」の活動も本格化させています。eスポーツ体験、ラジコンカー体験、小型自転車体験など、家族で参加できるイベントが盛りだくさんでした。

 そして、マツダスピリットレーシングとしてのアパレルなど、マーチャンダイジング展開もこのイベントで事業化が正式スタートしたのです。

 今回、ロードスターを使ったマツダ耐久(マツ耐)にマツダ役員チームの一員として参戦した、取締役 専務執行役員 グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス・新事業(MaaS)統括の青山裕大(あおやまやすひろ)氏は、マツダスピリットレーシングの現状とこれからについて次のように話しました。

「マツダスピリットレーシングは、様々な活動を一歩ずつ進めているところです。

 一番大きい特長はやはり、マツダ本社が主体で進めている点でしょう。クルマの開発関係者も熱意を込めて挑戦してくれています。

 マツダスピリットレーシングとしての大きな1年目だったと思います。

 マツダとしてのブランド価値を、お客様と社員が一緒になって盛り上げていくマツダスピリットレーシングは、まだ道半ばですが、マツダにとって大きなモーメンタムになっていることは確かだと思います」

 今後も、マツダスピリットレーシングの新たなる展開に大いに期待したいところです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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