ガソリンは4割が税金? 本体価格は軽油のほうが高い? “トリガー条項”なぜ発動しない? クルマの“燃料”にまつわる税金はどうなってるのか
「二重課税」と言われるガソリンにまつわる税金。実施にはどのような税金がいくらかかっているのでしょうか。またガソリン価格を下げる要因になりえる“トリガー条項”はなぜ発動しないのか。2022年11月現在の状況と合わせて解説します。
ガソリンは4割が税金、実際の“本体価格”はいくらなのか? 現在の価格で検証
経済産業省 資源エネルギー庁は、2022年11月9日に石油製品価格調査の結果を発表しました。
調査によると、11月7日(月)時点のガソリン等の店頭現金小売価格は、レギュラーガソリンが168.1円/Lで前週の169.1円と比べ1.0円値下がりで、2週連続の値下がり。軽油が148.2円/Lで前週の149.1円と比べ0.9円値下がりで、2週連続の値下がりです。
直近2週間では値下がりを記録しても以前と価格の高いガソリン。SNS等では「二重課税だ!」「税金高すぎる」と話題ですが、実際どのような税金がかかっているのでしょうか。
レギュラーガソリンにかかる税金は、具体的に、ガソリン税(本則:揮発油税+地方揮発油税)とガソリン税(暫定)、石油石炭税、温暖化対策税、消費税の5種類です。
それぞれ消費税以外の金額は固定で、ガソリン税(本則)が28.7円、ガソリン税(暫定)が25.1円、石油石炭税が2.04円、温暖化対策税が0.76円です。
消費税の計算方法は、消費税(ガソリン)=(本体価格+ガソリン税(本則)+ガソリン税(暫定)+石油石炭税+温暖化対策税)×10%となります。
この税金に税率がかかっているという点が、「二重課税だ!」と論議になっているポイントですが、消費税以外のガソリンにかかる4種類の税金はすべて、販売事業者に対して課せられているもので、消費者が課せられているわけではありません。
つまり飲食店などが店舗の固定資産税や食材を仕入れる際の消費税や関税などのコストを加味したうえで価格を決定し、消費者が購入する際にその“商品価格”に消費税が発生するのと同様で、厳密にいうと二重課税に値しないのです。
このような誤解の理由は、販売事業者が発行するレシートに、ガソリンにかかる税金の明細をレシートに記載していることがあるためかと思われます。
直接かかる消費者にかかる税金ではないとはいえ、5種類もの税金が間接的に課されていると「文句」もいいたくなるでしょうし、具体的にいくらが税金でいくらが本体価格なのか気になります。
仮にレギュラーガソリンが1リッター168円だった場合で計算すると、本体価格は96.13円で、ガソリン税(本則)が28.7円、ガソリン税(暫定)が25.1円、石油石炭税が2.04円、温暖化対策税が0.76円となりここまでの合算値152.73円が小計となり、これに消費税15.27円が加わり、168円となります。
つまり約6割が本体価格、約4割が税金関連の金額となります。
※ ※ ※
軽油は、レギュラーガソリンと税金のかかり方が違います。
軽油の場合、消費税以外の税金は、「軽油引取税(本則)15.0円」「軽油引取税(暫定)17.1円」「石油石炭税が2.04円」、「温暖化対策税が0.76円」がかかりますが、消費税は「本体価格」と「石油石炭税」、「温暖化対策税」のみにしかかかりません。
つまり消費税の計算は、「消費税(軽油)=(本体価格+石油石炭税+温暖化対策税)×10%」となります。
具体的に計算してみると、軽油が1リッター148円の場合、本体価格が102.56円、軽油引取税(本則)が15.0円、軽油引取税(暫定)が17.1円、石油石炭税が2.04円、温暖化対策税が0.76円、消費税が10.54円となり、約7割が本体価格で、残りの3割が税金にまつわる金額となります。
レギュラーガソリンにかかるガソリン税と違って、軽油引取税はなぜ、消費税にかかわってこないのでしょうか。石油元売り会社の出光は次のように説明します。
「ガソリン税(揮発油税)の納税義務者はメーカーであり、『ガソリン製造時のコスト』として原価に組み込まれるものであるため、『ガソリン税を含む商品』に対して消費税が課されます。一方、軽油税(軽油引取税)の納税義務者は消費者で、軽油が販売された時点で課されるために、消費税のかかり方が異なるのです」
つまり誰がその税金を払うかによって異なるということですが、意外にも本体価格はレギュラーガソリンよりも軽油のほうが高いという結果になります。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。