「エンジンオイル交換」サボっちゃだめ? 放ったらかすと内部で何が起きるのか
消耗品であるクルマのエンジンオイル。もし交換をサボってしまうと、エンジン内部で何が起きるのでしょうか。
エンジンオイルの交換を怠るとどうなるのか
エンジンの潤滑油であるエンジンオイルは消耗品です。一定以上使用した場合は交換することになります。
しかし、ただの潤滑油と思われているのであればそれは大きな間違い。エンジンオイルの性能は日々向上しており、今日 の高性能エンジンの性能を引き出す上で欠かせない物となっています。
ではそのエンジンオイルを交換せずに走り続けたらどうなるのか。整備士に話を聞きました。
エンジンオイル=潤滑油という認識の通り、「潤滑」もエンジンオイルの役割のひとつ。しかしそれ以外の6つの役割については、あまり意識されることが無いようにも思えます。
そこでエンジンオイルの7つの役割を確認したいと思います。
まず1つめが「潤滑作用」となります。これは金属パーツ同士の摩擦を低減することで、摩耗を減らすのが目的です。
2つ目が「冷却作用」。ピストンなど冷却水が届かない場所に対して、エンジンオイルを吹き付けることで熱を奪い、奪った熱をオイルクーラーまで循環して放熱を行います。
3つ目は「緩衝作用」。粘性のあるオイルは狭い隙間ではクッションの役割を果たし、ピストンで生じる燃焼の衝撃を吸収しています。
4つ目は「防錆作用」。金属表面に油膜を張ることで、空気や水分を遮断して、金属パーツを錆から守ります。
5つ目が「密封作用」。ピストンとシリンダーの間には隙間があり、そのまま燃焼させると圧力が逃げてしまいます。その隙間に粘性を持ったエンジンオイルで塞いで密封することで、燃焼時の圧力を動力として伝達します。
6つ目が「洗浄作用」。金属パーツ同士の摩耗による金属粉や、燃焼によって生じるカーボンなどを取り込み、オイルエレメントまで運んで濾過することで汚れを洗い流します。より洗浄作用の強いフラッシングオイルは、固着した汚れを落とすのにも有効です。
7つ目が「中和作用」です。エンジン内部の燃焼によって、NOx(=窒素酸化物)などの強い酸性物質が発生し、水蒸気と混じることで酸性の液体となります。エンジンオイルには油膜によって直接酸性物質が触れないようにするとともに、オイル内に取り込むことで中和する作用も持ち合わせています。
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エンジンオイルが持つ役割と作用を確認したわけですが、もしエンジンオイルを長期間に渡って交換しなかった場合、少なくともエンジンにとっては好ましくない状態になることは想像できます。
具体的にどういった点で問題が出てくるものなのでしょうか。北陸地域で整備士として働くAさんに話を伺いました。
――エンジンオイルを交換しないとどうなりますか
最終的には内部で焼き付きを起こしてエンジンブロー(エンジン内が壊れた状態)となります。ただその途中でさまざまな現象が起こります。
まずエンジンオイルは燃焼時の圧力などによって、結合している分子が切り離されていき、これによりオイルとしての粘性が失われていきます。すると潤滑、緩衝、密封の作用が低下し、燃費の悪化や騒音の増加などに繋がります。
これは内部での摩擦が増えていることを意味しているので、この状況が長く続くと摩擦熱によって金属パーツが焼き付いてしまうのです。
とは言ってもセルフでの給油が増えた昨今。自分から走行距離に応じてオイル交換を頼むドライバーは以前より減っているんじゃないかと。昔ほどスタンドも積極的じゃないですからね。
車検前に車を買い替えてるブルジョアな人は3年ほど年式が落ちているだけで高く売れると考えているだろうけど、エンジン内が酷かったら買取業者や次のオーナーが可愛そうですね。