走行中に飛び石が直撃! フロントガラスの傷・ヒビはかなり危険! 修復可能な傷はどの程度?
ヒビは大きさによっては修復可能
フロントガラスのクラックやヒビは、どの程度なら補修が可能なのでしょうか。
「一般的な補修可能な目安は直径1.5cm以内程度。ただし、運転席の目の前やウインドウの端部分、エアコンの吹き出し口に近い箇所は修復が難しいといわれています。
運転席の目の前のガラスは、凹みを埋める『レジン』を流し込んでも歪みが出やすく視界が良好とはいえない可能性がありますし、ウインドウの端はボディからの振動が伝わりやすく、エアコンの吹き出し周辺は温度変化の影響を受けやすいため修復が困難なのです」(ウインドウリペア専門店 Sさん)
また1.5cm程度のヒビもレジンを流し込むことで傷を目立たなくすることが可能ですが、これを超えるような大きさになってしまったヒビは修復できず、ガラスごとの交換が必要になることが多いようです。
「たいていの飛び石であれば補修可能なことが多いのですが、倒木や大きな落下物など、大きくて重いものによってできた上下または左右に亀裂が走ったヒビは、安全や視界確保の観点からもガラス交換となります」(ウインドウリペア専門店 Sさん)
その点、劣化ワイパーでできた筋状の傷は浅いので比較的補修がしやすいそうです。ただしこれも傷が長くなると、補修した歪みが目立ってしまうこともあるそうです。
修復に使われるレジンとは樹脂を主成分とした補修剤。このレジンには2種類あり、硬化までの工程と時間に違いがあります。
「大まかに主剤と硬化剤を混ぜ合わせることで固まる『エポキシレジン』と、UVライトで紫外線を照射することで硬化する『UVレジン』の2種類があります。
エポキシは透明度が高く厚みが必要な傷には最適で、UVレジンはUVライトを当てると数分で硬化するという作業時間の短さが魅力。弊社では主にUVレジンを補修剤として使用しています」(ウインドウリペア専門店 Sさん)
クラックや傷の修復するため、さまざまなリペアキットが販売されていますが、DIYでもできるものなのでしょうか。
「ポイントは大きく分けてふたつあり、ひとつは修復液のレジンを使う前に、クラックやヒビ、筋状の傷などをきれいに洗浄して不純物を取り除くこと。
また水分も完全に無くしておきたいところですし、パーツクリーナーなどでガラスの表面に付いているコーティングなど油膜も除去しておく必要があります」
パーツクリーナーは、揮発性の高いアルコールで油分を分解除去してくれるもので、量販店やホームセンターなどで手軽に購入できます。
「ふたつ目のポイントは真空引きという技を使うこと。たいていのリペアキットには同梱されていますが、傷部分を外部から遮断し、文字通り真空状態を作り出す器具です。
とくにヒビなどの場合、この真空引きをしないと傷口に空気が残った状態ですとレジンとの間に混入してしまうため、気泡になってしまう可能性があります。
真空引きで空気を取り除き、修復液であるレジン注入で加圧、また傷の奥にある空気を吸い出すために真空引き、といった具合に数回繰り返すことで傷やヒビの隅々までレジンが入っていってくれます」(ウインドウリペア専門店 Sさん)
真空引きが上手にできるかで仕上がりにかなり差が出るとのこと。DIYでトライしてみようと考えている人は慎重に作業することをお勧めしますが、自身がない人はやはりプロに依頼するのが良さそうです。
気になる予算は、数センチ程度の傷ならレジンを使った補修で1か所1万5000円ほど。市販のリペアキットは5000円以下で購入できますが、この差額がプロの技術料と納得できる人はプロに頼んだほうが間違いないでしょう。
またウインドウ全体の交換は(車種によって金額が変わるものの)10万円前後で収まればラッキーというくらい高額になります。
保険の内容次第では車両保険でカバーすることもできますが、その場合は等級が下がり、「事故あり係数」と呼ばれる割増引率も上がってしまうので保険を使うかは検討する必要がありそうです。
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