「もうヤダ!」 MT車の坂道発進にコツはある? 「後ろに下がるかも…」苦手意識を解消する覚えるべき「感覚」とは
MT車の坂道発進といえば苦手な人も多いかもしれません。「後ろに下がってしまうかもしれない…」といった不安を解消するために覚えておくべき「感覚」とはどのようなものなのでしょうか。
AT車よりも運転が難しい? MT車とは
クルマが自動的に運転をサポートしてくれるオートマチックトランスミッション(以下、AT)。
一方で、マニュアルトランスミッション(以下、MT)は、慣れていないドライバーであれば苦手意識を持つこともあるかもしれません。
とくに坂道発進を上手くこなすコツはあるのでしょうか。
いまや、国内で販売される新車はAT車がほとんどです。
ドライバーもAT限定免許を持つ人が多くなり、警察庁の運転免許統計によると2021年の免許取得者では6割にのぼっています。
AT車は操作が容易なため、免許取得者全体からするとMT車を運転したことがないという人はさらに多いともいえそうです。
そもそもクルマは、トランスミッションというギアボックス(変速機)を使って動かすもので、その操作をドライバーがおこなうのがMT車です。
ギア変速つきの自転車を想像するとわかりやすいですが、エンジンの回転数(スピード)に合わせてギアを変えていき、AT車のようにパーキングやドライブのポジションは存在しません。
また、MT車ではギアを変える際にクラッチを操作します。
クラッチとは、エンジンと車輪の間にある動力を伝える装置です。エンジン側とタイヤ側(トランスミッション側)に円盤部品があり、このふたつをつなげて回転を同期させることで、エンジンの動力を車輪へと伝えます。
クラッチペダルで操作しますが、ペダルを完全に踏みこむと円盤部品が離れ、動力は伝わりません。
MT車を運転するときに難しいと感じるのが、このクラッチ操作でしょう。
発進する際は、エンジンを始動したら左足でクラッチペダルを完全に踏み込みます。次に、右足でアクセルペダルをゆっくり踏み込みながら、クラッチを踏んでいた左足を離していきます。
このように徐々に動力が伝わっていく状態を「半クラッチ」と呼びますが、円盤を一気につなげるのでなく、擦り合わせた状態で同期させられるため、クルマへの負担が減ります。
ただ、慣れるまではどれくらい踏み込めばいいかなどがわからず、練習が欠かせないといえそうです。
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クルマが自動で変速してくれるため、アクセルペダルを踏めば前に進めるAT車。それに比べてMT車は、アクセルペダルを踏むだけではエンジン動力が車輪に伝わらず、操作が難しくなりがちです。
そのような背景から、首都圏の自動車教習所の担当者は「そもそも、MT免許を取得する人の数が非常に少なくなっています。割合としては、ATが9割、MTが1割程度です」といいます。