トヨタがお台場の巨大ショールーム跡地に「競技場」建設!? トヨタの方針転換にみる「近未来のショールーム」とは
「巨大施設展示」の時代が変わる!? 近未来のショールームのあり方とは
トヨタは、100年に一度の自動車産業の大変革期を迎えたいま、クルマの会社からモビリティカンパニーへの転換を目指し、トヨタおよびトヨタグループでの組織改革や、新技術開発に取り組んでいるところです。
その中に、今回のメガウェブからスポーツアリーナの転換に見られるように、クルマと社会とのつながりについても、大きな転換点を迎えたということでしょうか。
キモになるのは、はやりDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した、クルマに対する「所有と共有」のあり方でしょう。
自動車産業界では1800年代後半からこれまでの長きに渡り、自動車メーカーがクルマを製造し、それを自動車販売店がユーザー向けに販売する、売切り型のビジネスモデルが一般的でした。
それが2010年代以降、人々の仕事や暮らしに対する意識の変化と、スマートフォンを活用した情報の流通が急激に発達したことで、欧米や中国では個人所有のクルマをタクシーのように使うライドシェアリングが普及しました。
日本では、ライドシェアリングに関して国が明確な方針を打ち出しておらず、その代わりとしてユーザーが自ら運転するカーシェアリングが全国各地で広まっている状況です。
こうした時代変化のなかで、メガウェブのような、人とクルマ(新車)との関わり方も変化が必要だった、ということかもしれません。
ただしトヨタは以前のような4チャンネル制から、全店舗・全車種併売制に移行しており、全国のトヨタのお店でフルラインナップのなかからクルマ選びができるようになりました。
とはいえ、メガウェブのようにフルラインナップを展示できるような店舗・施設は現在存在しません。
そのうえで新車販売店としては、ユーザーの希望に合わせて新車試乗の機会を設けるなど、DXを駆使した新しいユーザーサービスを展開するステージに入ったといえるでしょう。
また海外の事例では、三菱がアメリカで、オンラインでのバーチャルショールームを実用化するなど、仮想空間を活用したクルマの売り方や買い方を提案しています。
日本でも、韓国・ヒョンデが、オンラインのみでクルマ選びから売買契約まで一気通貫で行うシステムを導入して大きな話題となっているところです。
加えて、ヒョンデのブランドイメージの定着と修理を行う場として、日本法人直轄でのエクスペリエンスセンターを2022年7月末、横浜市内に開設しています。
こうした世の中の流れを見ていくと、トヨタの「TOKYO A-ARENA」プロジェクトは、近未来の「人とクルマ」との関わり方についてのさまざまな変化を「見える化」させる場になるように感じます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
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