なぜメロディ信号機は減った? 「通りゃんせ」「夕焼け小焼け」から「カッコー」疑似音に変化した理由とは

ひと昔前までの信号機には「通りゃんせ」などの音楽が流れる「メロディ式信号機」も見られましたが、最近では、その数は減少しています。果たして、なぜメロディ信号機は少なくなったのでしょうか。

「通りゃんせ」信号機が減少している!

 かつての歩行者用信号機のなかには青信号の際に、「通りゃんせ」などの音楽が流れる信号機が多く見られました。
 
 しかしながら、最近では音楽が流れる信号機が減っているといいますが、実際にはどのような状況なのでしょうか。

音が鳴る信号機には種類があった! 昔よく見た「通りゃんせ」信号機は減少? いまは「カッコー」など疑似音が主流になったワケとは
音が鳴る信号機には種類があった! 昔よく見た「通りゃんせ」信号機は減少? いまは「カッコー」など疑似音が主流になったワケとは

 そんな“通りゃんせ信号機”のように、青信号で音楽が流れる信号機は「メロディ式信号機」と呼ばれ、「通りゃんせ」以外にも、「故郷の空」「春の小川」「夕焼け小焼け」など、有名な音楽が多く活用されていました。

 もともとメロディ式信号機は、視覚障害者に青信号を告げるために設置されたものです。

 音楽が流れている間は、信号の色を視認しにくい視覚障害者の人でも安心して横断歩道を通行できます。

 そんなメロディ式信号機ですが、岡山県立大学の名誉教授である田内雅規氏によると、1980年代後半から2000年代初頭までは、日本国内に2000基ほどは設置されていたようです。

 しかし、現在、警視庁が公開しているデータによると、2020年3月にはメロディ式は394基にまで減少しています。

 一方で、メロディ式信号機以外にも、青信号の際に「ピヨピヨ」や「かっこう」など、鳥のさえずりなどの音が鳴る信号機も存在しています。

 こうした信号機は、「擬音式信号機」と呼ばれ、前出の警視庁のデータによると、2020年3月時点で日本国内には1万9907基が設置されており、メロディ式信号機に変わってその数を増しています。
 
 実は、メロディ式信号機と擬音式信号機は、合わせて「音響式信号機」と称されます。

 音響式信号機の目的は、いずれも、視覚障害者など、信号の色を視認しにくい人が、比較的安全に交通を進められるようにすることにあり、両者の違いは、音楽が鳴るか、擬音が鳴るかの1点に尽きます。

 あまり大きな違いがないように見える両者ですが、なぜメロディ式信号機は擬音式信号機に置き換わっているのでしょうか。

 国内の信号機メーカー担当者によると、「メロディ式信号機が少なくなった背景には、警察からの要請が関わっています」とのことで、警察が主導で信号機の置き換えがおこなわれていることがうかがえます。

 その大きな要因は、警察庁に「音響を全国的に統一してほしい」という声が寄せられていたことにあります。
  
 そもそも音響信号機は音楽を楽しむためのものではなく、視覚障害者が安全に歩行するためのものです。

 利用者にとっては、さまざまな音楽が流れることが混乱に繋がってしまっていたのかもしれません。

 申し出を受けた警視庁は、過去に2回、音響統一の通達をおこなっています。

 1度目の通達は1975年におこなわれており、この時の通達により、擬音式を「ピヨピヨ」「かっこう」の2種類に、メロディー式は「通りゃんせ」「故郷の空」の2種類に統一されました。

 この際の警察の通達により、地域によってバラバラだった音楽が統一されたのです。

 そして、2度目となる2003年に警察庁は「道路横断時の方向性がより明確で、誘導性も高い、擬音式の異種鳴き交わし方式(目の不自由な方をより安全に誘導するために、交差点の対岸で違う種類の音を鳴らす方式)の整備を進める」旨の通達を出しています。

 警察はこの際の通達で、音響式信号機の音を擬音式の「異種鳴き交わし方式」に整えるように指導しています。

 異種鳴き交わし方式とは、「ピヨ」か「ピヨピヨ」、または「カッコー」か「カカッコー」を約1.5秒間隔で、道路のこちら側とあちら側で交互に鳴らす方式です。

 これにより、道路を横断する際の方向性がわかりやすくなったといわれています。

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