なぜメロディ信号機は減った? 「通りゃんせ」「夕焼け小焼け」から「カッコー」疑似音に変化した理由とは

擬音式信号機が一般化された理由とは?

 また、音の組み合わせによって方角を分けているため、進行方向がわかりやすくなっています。

 例えば、進行方向からは「カッコー」が流れ、後ろからは「カカッコ-」が流れるといった具合です。

 異種鳴き交わし方式が採用されたことにより、メロディ式信号機の起用が難しくなりました。

 交互に異なる音楽を鳴らすことにより、音楽がぶつ切りになり、進行方向などわかりにくくなってしまうからです。

 このように、メロディ式信号機が少なくなった背景には、音響式信号機がさらにその役割を全うできるよう、工夫された結果であるといえます。

 実際に過去の取材において、視覚障害者福祉の向上などの活動をおこなっている日本盲人連合は、音響信号を必要とする利用者における場所による音の違いなどで不安な面について、次のように話していました。

「昔から『カッコー』や『ピヨピヨ』という鳥の声の擬音、『通りゃんせ』や『故郷の空』など音楽は一般常識として浸透していました。いまでも東京都内の一部で音楽式が残っていたりもします。

 なお警察庁は、スピーカー位置を高さ約3.3mと定めていますが、利用者からは『音源の位置が高すぎて方向が取りにくい』という声があります。

 横断歩道を安全に渡ることや近隣住民への配慮のためにも、スピーカーの高さや指向性については開発が進むことが望まれます」

歩行者向けの信号機に設置されている音響スピーカー
歩行者向けの信号機に設置されている音響スピーカー

 さらに、こうした理由以外にも、「騒音問題」といった背景要因もあったようです。

 擬音式信号機では、鳥のさえずりが短く流れるため、環境音として捉えられます。

 しかし、それがメロディ式の音楽となれば、静かな住宅街や夜遅くの通行では騒音となりやすいのです。

 2003年の通達以降、メロディ式信号機が設置されることはなくなりましたが、これ以前に設置されている信号機のなかには、メロディ式信号機が使われているものもあるため、まだ完全になくなってはいません。

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