なぜホンダは「2代目最後のNSX」イベントをやった? 販売終了でも「次への繋がり」を発信! 今だから解るNSXの凄さとは
2022年12月をもってその歴史に幕を閉じる「2代目NSX」。全世界で350台限定(国外320台、国内30台)はすでに完売済みですが、なぜか2022年8月にメディア向けに試乗会がおこなわれました。なぜ販売終了となっているモデルの試乗会がおこなわれたのでしょうか。
なぜいま生産終了の「NSXタイプS」試乗会がおこなわれたのか?
2021年に発表されたホンダ「NSXタイプS」。2代目NSXの集大成と呼べるモデルです。
世界限定350台でその内の30台が日本向けですが、すでに購入者は決まっています。
2022年の1月から生産が始まっているなかで、このタイプSの公道試乗会がおこなわれました。
「完売しているのに、なぜ試乗会?」と思う人もいるでしょうが、ホンダの想いは「次への“繋がり”を理解していてほしい」です。
「次とは何か?」それは4月におこなわれた「四輪電動ビジネス説明会」の最後に発表された2台の電動スポーツモデルです。
詳細についての発表はないものの、三部敏弘社長は「際立つ個性を体解するようなスペシャリティとフラッグシップ、2つのスポーツモデルをグローバルで投入」と語りました。
この1台、フラッグシップこそがNSX後継モデルでしょう。
ちなみに三部社長は「ホンダの電動化における象徴」、「2020年半ばに投入予定」と語っていますが、筆者はそれらから推測すると、BEVではなくプラグインハイブリッドだと予想しています。
改めて、タイプSについて簡単に紹介していきたいと思います。
古くはタイプS=ワインディングベストといわれましたが、このモデルは「タイプS以上タイプR未満」といった感じの立ち位置です。この辺りは技術の進化によるものでしょう。
パワートレインは3.5リッターV型6気筒直噴ツインターボ+リアモーター+フロント左右独立モーターの「スポーツハイブリッドSH-AWD」は不変です。
しかし、エンジンはターボチャージャー過給圧5.6%アップ/インジェクター燃料噴射量25%アップ/インタークーラー放熱量15%アップなどにより+22ps/+50Nmアップの529ps/600Nm。モーター部はインテリジェントパワーユニット(IPU)のバッテリー出力10%アップ、バッテリー使用可能容量20%アップで約7psアップに加えて、ツインモーターユニットの20%ローレンジ化。
その結果、システム出力は581ps/646Nmから610ps/667Nmに引き上げられています。
9速DCTのトランスミッションも手が入り、シフトスピードアップやより滑らかなシフト制御に加えて、減速側パドル長押し(0.6秒)で瞬時に適切なギアにシフトダウンを行なう「パドルホールド・ダウンシフト」を採用。
フットワーク系も抜かりなしで、磁性流体式の電子制御アクティブダンパー(BWI製)は減衰特性の見直しとセットアップの振り幅拡張を実施。
足元はNSX専用設計のピレリP-ZERO(フロント:245/35R19、リア:305/30ZR20)と軽量鍛造ホイールの組み合わせです。
ちなみにホイールはインセットの変更によりワイドトレッド化(Fr:+10mm、Rr:+20mm)もおこなわれています。
エクステリアはアグレッシブな造形に変更されています。
これは単なる意匠性アップではなくセンター/左右の開口部拡大は冷却性能アップ、バンパーサイドの造形はリアインタークーラーへの流速を向上させる効果と機能のためです。
開口部の拡大はエアロダイナミクス低下に繋がりますが、追加されたフロントリップスポイラーとそれに合わせて形状を最適化したリアのディフューザー形状により、むしろ空力操安はアップしています。
大きく変わったエクステリアに対して、インテリアは刺繍が施されたシートやタイプSロゴ付グローブボックス(タイプSロゴ)など細部の変更に留まります。
格納機能が無いのドアミラー、画面の小さなナビゲーションはそのままです。
この辺りの変更は少量生産モデルでは難しいのは理解していますが、個人的にはもう少し差別化してほしかったです。
スーパーカーの電動化ではホンダが先駆者だったんだなぁ
新しいNSX、俺は待っているぞ!