バスが「スマホで呼べる」!? 実証では平均8分強で到着の例も! 地域を支える公共交通が大きく変わる「AIオンデマンド交通」とは

路線バスや地域のコミュニティバスに代わる「究極の交通システム」はAI化がカギ

 こうしたなか、地方自治体は、路線バス事業者に対して補助金を出すなどして、路線バスの維持を進めてきました。

 そうなると、誰も乗っていない状態の「空(から)バス」も珍しくありませんが、「住民からは(無駄だから)廃止したり減便するようにとの意見が出ることは滅多にない」と指摘する声を、筆者(桃田健史)は全国各地の地方自治体の関係者から直接聞いています。

 普段は路線バスを使わなくても、何かの場合に「もしかすると使うこともあるかもしれない」という生活の中での保険のような感覚で、公共的な交通サービスを捉えている住民が少なくないということです。

長野県塩尻市の地域振興バス(コミュニティバス)「すてっぷくん」はマイクロバスや小型バスで運行されていた[撮影:桃田健史]
長野県塩尻市の地域振興バス(コミュニティバス)「すてっぷくん」はマイクロバスや小型バスで運行されていた[撮影:桃田健史]

 また、路線バスだけではなく、住宅地の中にも停留所があるような「コミュニティバス」(おもに行政が主体となり、小型バスで運行し主要路線バスの区間を補うバス路線)についても、全国的に見ると利用者数が減っているケースが目立つようになってきました。

 コミュニティバスは、市町村など地方自治体が地域のバスやタクシー事業者に委託して運行しています。

 こうした、路線バスへの補助金や、コミュニティバスの運行費用として、市町村の財政規模によって多少の差がありますが、概ね年間5000万円~1億円が支出されています。

 今後、多くの地方自治体は少子高齢化の影響などで財政状況が厳しくなることが予想されている中で、路線バスやコミュニティバスの効率的な運行が行えるような施策を考えていかけなればなりません。

 そこで近年、注目が集まっているのが、AIを活用したオンデマンド交通です。

※ ※ ※

 これまでも、乗り合いタクシーなど、電話受付によるオンデマンド交通を実用化するケースは全国各地で行われてきました。

 それは、利用者数が少ない、または利用機会を限定すればなんとか運行できますが、利用者数が一定数以上になると、移動の途中で何人乗って、降りる場所の順番をどう選ぶなど、運行事業者がその場で判断することは難しくなります。

 こうした課題に対し、配車システムの専用ソフトウエアを活用して、効率的な配車と運行を行おうというのです。ただし専用のソフトウエアには、開発コストや運用コストに応じて様々な種類が存在しているのが実情です。

 実例として、2022年8月上旬に取材した、長野県塩尻市(人口約6万7000人、年間予算約315億円)のケースをご紹介しましょう。

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