バスが「スマホで呼べる」!? 実証では平均8分強で到着の例も! 地域を支える公共交通が大きく変わる「AIオンデマンド交通」とは
少子高齢化の影響などで、多くの地方自治体の財政状況が厳しくなることが予想されているなか、公共交通の路線バスやコミュニティバスの効率的な運行が維持できる施策を考えていかけなればなりません。そこで近年、全国各地で導入事例が増え注目が集まっているAIを活用したオンデマンド交通についてレポートします。
地域を支える公共交通「路線バス」や「タクシー」の事業維持に赤信号
さまざまな交通移動手段をひとつのモビリティサービスとして提供する仕組み「MaaS(マース:Mobility as a Service)」が注目されています。そのなかでも、AIを活用した効率的な配車により、利用者予約に対しリアルタイムに最適配車を行う「究極の交通システム」といわれているのが「AIオンデマンド交通」です。
AIオンデマンド交通の実際について、MaaSの国内外事情について精力的に取材を進めるモータージャーナリストの桃田 健史氏が、長野県での実証例など交えレポートします。
究極の交通システムは、AIオンデマンド交通なのでしょうか?
全国各地で、その実態について聞いてみました。
オンデマンド交通とは、「デマント(要求)」に応じた公共的な交通システムのことです。
デマンド交通とも呼ばれることがありますが、最新バージョンではAI(人工知能)を活用したバーチャル停留所方式のオンデマンド交通もすでに実用化されています。
オンデマンド交通の実態は、どうなっているのでしょうか?
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まずは、交通サービスの全体を見ていきましょう。
一般的に、交通サービスといえば、バス、鉄道、タクシー、航空機など、利用者が乗客となる公共的なサービスが思い浮かぶでしょう。
また、利用者自身が運転する交通サービスとしては、レンタカー、カーシェアリング、自転車シェアリング、そして最近では電動キックボードのシェアリングも登場しています。
その中で、オンデマンド交通は、利用者が乗客となる公共的なサービスが対象となります。
現時点で最も広く普及しているオンデマンド交通は、タクシーです。電話やアプリでタクシー予約をすることはもちろんのこと、街中で手を挙げてタクシーを停めるという行為も、予約なしで行うデマンドの一種だといえます。
一方で、公共的な交通サービスとして全国各地で広く普及しているバスの場合、時刻表で定めた時間に、決まったルートを走る「定時・定路線」が基本となります。
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身近な交通サービスである路線バスやタクシーは近年、需要(デマンド)と供給(サプライ)のバランスが大きく崩れてしまい、事業を継続することは難しくなるケースが全国各地で増えてきました。
大都市やその周辺では、一定規模の人の動きがあり、また平日の自家用車での移動が少ないため、公共的な交通が維持できています。
対する地方都市や山間地域では、平日でも自家用車利用が多いこともあり、駅や旧市街地を中心としたコースをとる路線バスの乗車率が大きく下がっているケースが目立ちます。
また、路線バスやタクシーの運転手の高齢化や、新たなる成り手の不足も社会問題になっている状況です。
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