DIYで「バッテリー交換」サクッと取り替えるだけじゃダメ!? 手順ミスで高額出費も! 正しい交換方法とは
クルマに搭載される電子制御式の装備を動かすバッテリーは消耗品のひとつとなり、時期が来たら交換が必要です。自分で交換することも可能ですが、正しい手順で交換しないと後々面倒なことになるようです。
現代のクルマのバッテリー交換時に必要な対策とは
クルマのヘッドライトやエアコン、ナビゲーションに加え電子制御式の装備は電気によって動いており、その電気を供給しているのがバッテリーです。
バッテリーは経年による劣化だけでなく、ライト類の消し忘れや、短い距離を頻繁に乗るシビアコンディションなどでその寿命は大きく変わってきますが、2年から3年ごとに交換する必要があります。
ネット通販でもカーバッテリーは数多く販売されているので、自分で交換しようと考えている人も多いのではないでしょうか。
以前のクルマは新品のバッテリーを付け替えるだけでOKでしたが、現代のクルマは高度に電子制御化されており、単純にバッテリーを外して付け替えるだけでは済みません。
手順を間違えるとパワーウインドウが動かなくなったり、アイドリングが安定しなかったり、カーナビが使えなくなるというトラブルが発生しやすくなるというのです。
一体なぜ、こういった不具合が起こるのでしょうか。
栃木県のT整備士に聞いてみたところ、「メモリーバックアップ」が重要なポイントだといいます。
現在のクルマにはCPU(コンピュータ)が搭載されており、車体各部に取り付けられたECU(エレクトリカル・コントロール・ユニット)が各センサーに何らかの異常を検知してCPUに情報を伝達。これを制御しています。
また各プログラムなどを活用するためにもECUは働いており、走行中で得た情報などをメモリーデータとして保管し、エンジンを切った状態でも「待機電力」でデータを常にセーブしているのです。
「単純にバッテリー交換してしまうと、たとえば、ナビゲーションで地点を登録した情報や、オーディオの放送局データだけでなく、アイドリングの適正な回転数やパワーウインドウのオート機能、バックモニターのガイドライン(後進時の映像に表示される車体の向き)などのデータが喪失してしまう可能性もあります。
これを防ぐためにも、バッテリー交換時にデータのメモリーを消さないという対策が必要です」(T整備士)
それが「OBD」への接続だというのですが、OBDとは何なのでしょうか。
「OBDは『オンボード・ダイアグノーシス』と呼ばれる自己診断機能のことです。
この機能を各ECUが持ち、異常を検知すると『故障コード』と呼ばれるエラー検知コードで知らせてくれるようになっており、不具合が出た場合どこが故障しているのかをすぐに確認できます。
バッテリー交換時に電力が切れるとCPUが自己学習で培ってきたデータが損失しまうので、これを避けるために、OBDに外部から電力を供給しながらバッテリー交換する必要があります」(T整備士)
現在の多くのクルマは、より進化した「OBD2」と呼ばれる診断機能を採用しています。バッテリー交換時にデータを保持するにはどうしたら良いのでしょうか。
「クルマにはOBD2専用のカプラーが搭載されているので、ここにメモリーバックアップ用の専用機器(多くはOBD2メモリーバックアップなどのネーミング)を装着し、CPUやECUへの電力を継続供給すればデータを保持した状態でバッテリー交換が可能になります」(T整備士)
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