マツダ新型SUV「CX-60」はコスパ最高!? 実車に触れて分かった5つの「とがった」ポイント

「走りの楽しさ」でいえば、4気筒モデルのCX-60が頂点?

●小型車並み!? ディーゼルの燃費がすごい

 ディーゼルエンジンは、CX-5の4気筒2.2リッターから6気筒の3.3リッターへと大型化されています。パワーやフィーリングの面では歓迎したい6気筒化ですが、一方でディーゼルのセールスポイントである燃費を考えると大型化は魅力ダウンと考えてしまう人もいるかもしれません。

 しかし、実際はそうではないのです。

 モーターを組み合わせないディーゼルエンジンを搭載した仕様のWLTCモード燃費(2WD車)は、なんと19.8km/L。目を疑うような数値で、当然ながらCX-5の17.4km/Lを超えています。

 これがマツダの考える「環境性能と走る楽しさの両立」で、排気量アップの余裕を出力向上ではなく環境性能へと振り分けることでこの燃費を実現できたのです。

 この燃費は排気量1.8リッターディーゼルエンジンを積むコンパクトSUVの「CX-3」並みであり、まさに常識が崩れました。

マツダ新型「CX-60」(画像は「SKYACTIV-G 2.5」搭載車)
マツダ新型「CX-60」(画像は「SKYACTIV-G 2.5」搭載車)

●トルコンレスの8速ATが凝っている

 これまでマツダのトランスミッションは6速でしたが、CX-60では待望の8速化が実現しました。そして、このATユニットがなんとも常識外れ。

 一般的にATはトルクコンバーターという装置を組み合わせますが、CX-60のATはそれを備えず、代わりに電子制御の多板式クラッチをセット。ギヤボックス自体や遊星歯車を使う一般的なATと同じ仕組みですが、自動制御のクラッチを組み合わせることで“滑り”をなくしてダイレクトな加速を実現しています。

 超シンプルに説明すると、電子制御のクラッチはMT車のドライバーが左足でやっているクラッチの“切る/つなぐ”を自動化したものと考えれば分かりやすいでしょう(ATなので変速操作も自動でおこないます)。

 いわゆるデュアルクラッチでもない、ほとんど採用例のない仕掛けですが、MT車やデュアルクラッチと同様のダイレクト感を味わえるのが特徴です。

●4気筒モデルのフロントミッドシップがすごい

 プラグインハイブリッドモデルではない4気筒モデルは“廉価仕様”と思われるかもしれません。しかし走りの楽しさからいえば、この仕様がCX-60の中で頂点かもしれません。

 その理由は、エンジンの軽さと置き方。フロントエンジン車で同じ車体に積む場合は、エンジンが軽いことから6気筒エンジンよりも4気筒エンジンのほうがハンドリングに優れることはよく知られています。

 しかし、CX-60のエンジンルームを見て驚きました。エンジンはフロントサスペンションの付け根よりも後方に置かれていて、完全なるフロントミッドシップを実現しているのです。4気筒モデルはCX-60シリーズの中のハンドリング番長なのです。

 また、走り好きの中には、少しパワーが足りないくらいがアクセルを踏み込むよろこびを味わえるので、運転が楽しいという人も少なくありません。

 具体的にいえば「マツダ3」の1.5リッターエンジン搭載車や「ロードスター」の心地良さがそれに相当しますが、控えめなパワーとしたCX-60の4気筒モデルもそれと同じ楽しみが備わっているのは間違いないでしょう。運転好きなら、「25S」系のモデルを要チェックです。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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