ハイスペック軽自動車の元祖! 次世代型はどうなる!? スズキ初代「アルトワークス」はどんな車だったのか
スズキは1987年に、軽自動車におけるパワー競争の頂点に立つ初代「アルトワークス」を発売。常に最速の名をほしいままにしてきたハイスペック軽自動車の原点とは。
軽パワーウォーズの頂点に立った初代「アルトワークス」とは
1980年代になって、国産車の高性能化が一気に加速しました。その要因として重要な存在だったのが、ターボエンジンの登場です。
1979年に、国産車初のターボエンジンを搭載した日産「430型 セドリック/グロリア」が発売されると、2リッターエンジン車を皮切りに、次々とターボ車が誕生しました。
そして、各メーカー間ではパワー競争が勃発。さらに、ターボ車はより小さい排気量のクルマへと波及し、1983年に三菱が、最高出力39馬力(グロス)を発揮する550cc直列2気筒SOHCターボエンジンを搭載した「ミニカエコノターボ」を発売。
軽自動車市場でも、1970年代初頭に続いて第二次パワー競争が始まりました。
そして、1987年にパワー競争に終止符を打つことになった、スズキ初代「アルトワークス」が登場。その後もアルトワークスは常にハイスペック軽自動車のトップに君臨し続け代を重ねましたが、2021年12月に現行モデルの9代目アルトが発売されるとアルトワークスは姿を消しました。
現状では新型アルトワークスの登場はアナウンスされていませんが、よりエコな軽自動車が台頭しているなか、ハイスペックなモデルの動向が注目されます。
そこで、シリーズの原点である初代アルトワークスとはどんなクルマだったのか、振り返ります。
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初代アルトワークスのベースとなったアルトは、1979年に初代が誕生。4ナンバー商用車(軽ボンネットバン)として開発された初代アルトは、47万円という当時としても驚異的な低価格を実現し、大ヒットを記録しました。
この初代アルトの登場をきっかけに、他メーカーも次々と軽ボンネットバンを発売し、1980年代にはマーケットの主役となりました。
その後、前述のとおり1983年に三菱ミニカエコノターボが登場し、スズキも追従して1985年には、2代目アルトに軽自動車初の電子制御燃料噴射装置付き3気筒SOHCインタークーラーターボエンジンを搭載した「アルトターボ」を追加。
さらに1986年には、軽自動車初の1気筒あたり4バルブ3気筒DOHCエンジンを搭載した「アルトツインカム12RS」と、より高性能な「アルトターボSX」を市場投入しました。
そして、スズキ、ダイハツ、スバル、三菱によるパワー競争が激化していた1987年に、軽自動車におけるパワー競争のトップに立つ、最高出力64馬力を発揮する「F5A型」550cc3気筒DOHC12バルブインタークーラーターボエンジンを搭載した初代「アルトワークス」が誕生。
グレードはFFの「RS-S」と「RS-X」、軽自動車初のビスカスカップリング式フルタイム4WDの「RS-R」のバリエーションが揃い、名実ともにスポーティ軽自動車の頂点に君臨しました。
その走りは強烈で、2WD車の車重は610kg、4WD車でも650kgと超軽量だったため加速性能は1リッタークラスのターボ車を凌駕したほどです。
一方、サスペンションはフロントがストラット、リアが固定車軸式と強化されながらもオーソドックスな形式で、タイヤも145/65R13と、ハイパワーを受け止めるには、少々アンダーサイズでした。
外観ではボンネットフードにエアスクープを設け、上位グレードのRS-XとRS-Rには専用のエアロパーツを標準装備。
内装はホールド性の高いバケットシートや4本スポークのスポーツステアリングが奢られ、タコメーターは9500rpmからレッドゾーンで1万2000rpmスケールのタコメーターを装着し、ピンクを基調としたポップなカラーコーディネートで高揚感を演出していました。
スペックもビジュアルもすべてスポーツマインドあふれる初代アルトワークスは若者の心をつかみ、一躍ヒット作となりました。
センセーショナルなデビューを飾った初代アルトワークスでしたが、今に続く軽自動車の64馬力自主規制のきっかけとなったのは周知のとおりです。
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本来、軽自動車は庶民の足として誕生し、高性能なモデルは軽自動車のコンセプトとは離れた存在といえますが、軽自動車は65年以上もの歴史のなかで進化し、多様化してきました。
直近では三菱と日産から新型軽EVが発表されるなど、軽自動車は大きな転換期を迎えたといえます。
こうした状況のなか、新たなハイスペック軽自動車が誕生するのは難しいといえますが、やはり新型アルトワークス登場には期待せざるを得ません。
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