日産「サクラ」とは事情が違う!? 新型「eKクロス EV」が三菱軽SUVシリーズとして投入される訳

ベースのガソリン車よりEVの新型eKクロス EVのほうが快適!?

 新型eKクロス EVは、床下に駆動用リチウムイオン電池を搭載しながら、車内は広々としています。

 その理由は、ベース車のeKクロスを開発する段階で新型eKクロス EVの追加も視野に入れていたからです。

SUVテイストの軽自動車「eKクロスシリーズ」にEV追加
SUVテイストの軽自動車「eKクロスシリーズ」にEV追加

 とくに注目されるのは後席の居住性です。

 一般的にガソリンエンジン車をベースに開発された電気自動車は、床が高く、後席に座った乗員の膝が持ち上がる窮屈な姿勢になります。

 それが新型eKクロス EVは、前述の通り床の高さがeKクロスと同等。しかもeKクロスの後席は座面の柔軟性が乏しいですが、新型eKクロス EVは少し改善され、座り心地が快適になっています。

 電気自動車の居住性が、ベースのガソリンエンジン車を上まわるのは珍しいことです。

 このように新型eKクロス EVは、実用性に優れた電気自動車です。「アウトランダー」や「デリカD:5」をファーストカーとして使用する世帯が、買い物などに使うセカンドカーが必要になったとき、新型eKクロス EVはピッタリでしょう。

 1回の充電で180kmを走行できれば、買い物などには十分です。

 1994年には全国で6万か所あった給油所(ガソリンスタンド)も、今は3万か所を下まわります。給油に手間を要する地域では、日常的な移動が電気自動車になると便利になるでしょう。

 新型eKクロス EVのグレード構成は、Gと上級のPです。衝突被害軽減ブレーキやサイド/カーテン/ニーエアバッグは全車に標準装着され、Pにはスマートフォン連携ナビ、通信機能の三菱コネクト、SOSコール、ステアリングヒーター、運転席と助手席のシートヒーター、15インチアルミホイールなどが標準装着されます。

 価格はGが239万8000円で、経済産業省の補助金(55万円)の交付を受けると、実質184万8000円に下がります。Pは293万2600円で、補助金の交付を受けると実質238万2600円です。

 GとPの価格差は53万4600円ですが、装備の違いを考慮すると、価格とのバランスは取れています。

 運転支援機能の「マイパイロット」は、両グレードにセットオプションとして設定。Gに装着する場合は、スマートフォン連携ナビやSOSコールとセットにした先進快適ナビパッケージを装着することになり、セットオプション価格は41万5800円です。

 上級のPは、先進安全快適パッケージとして、16万5000円でマイパイロットを装着できます。

 新型eKクロス EVのマイパイロットは、カーナビとセットになるので、eKクロスに比べると価格の上乗せが大きいです。オプションも精査して、ニーズに合った選び方をしてください。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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