日産「サクラ」とは事情が違う!? 新型「eKクロス EV」が三菱軽SUVシリーズとして投入される訳
三菱がEVの軽自動車として新型「eKクロス EV」を発表しました。軽SUV「eKクロスシリーズ」とデザインはほぼ共通なのですが、なぜあえて同じスタイルとしたのでしょうか。
ベース車とデザインがほぼ同じなのはナゼ?
最近は日産「アリア」、トヨタ「bZ4X」、スバル「ソルテラ」という具合に、新型の電気自動車が相次いで発表されています。
そんななか注目されるのが、2022年5月20日に発表された三菱新型「eKクロス EV」で、「eKクロス」の名称が付くことからも分かるように、軽自動車サイズの電気自動車です。
新型eKクロス EVは、日産と共同開発されました。軽ハイトワゴンの「eKワゴン/eKクロス」や軽スーパーハイトワゴンの「eKスペース/eKクロススペース」と同様に、車両開発は主に日産が、製造は三菱が担当しています。
三菱の 新型eKクロス EVと同日に発表された日産新型「サクラ」は、互いに基本部分を共通化する姉妹車ですが、それぞれのコンセプトは異なります。
新型eKクロス EVは電気自動車でありながら、「eKシリーズ」の一員という考え方です。そのために新型eKクロス EVの外観はeKクロスとほぼ同じです。
電気自動車はエンジンを冷却する必要がないため、フロントマスクの形状を大幅に変更できますが、新型eKクロス EVはあえてそれをおこなっていません。変更点は最小限度に留めました。
共通化した背景には、販売台数の事情もあるでしょう。新型eKクロス EVは国内専売で、三菱の店舗数は550か所ですから、日産の2100か所に比べても30%以下です。
大量生産によるコスト低減を図りにくく、共通化した経緯もあると思います。
その点で姉妹車の日産サクラは、「アリア」や「リーフ」という、日産の電気自動車ラインナップに組み込まれます。
外観も日産の軽自動車「デイズ」とは大幅に異なり、共通なのはウインドウ程度。アリアやリーフと同じく「暁サンライズカッパー&ブラック」の外装色も用意され、軽自動車である以前に日産の電気自動車という造りです。
話を新型eKクロス EVに戻すと、パワーユニットは新型サクラと共通です。モーターの最高出力は47kW(64馬力)、最大トルクは195Nm(19.9kg-m)。電気自動車の動力性能は、エンジン車と直接比較はできませんが、最大トルクの数値は2リッターのガソリンエンジンと同等です。
駆動用リチウムイオン電池の容量は20kWhで、日産 リーフの40kWh仕様に比べると半分ですが、その代わり車両重量も「G」が1060kg、上級の「P」でも1080kgと軽く、1回の充電で180kmを走行できます(WLTCモード)。
充電の所要時間は、駆動用電池の充電量が減っている状態で、自宅の普通充電(AC200V/14.5A)だと約8時間で満充電になります。急速充電器を使ったときは、30分で約50%、40分で約80%まで充電できます。
電気自動車の機能としては、まず「イノベーティブペダルオペレーションモード」を採用しました。
この機能を使うと、アクセルペダルを戻すと同時に減速エネルギーを使った発電が積極的におこなわれ、駆動用リチウムイオン電池に充電。そして同時に大きく減速するので、ブレーキペダルを踏まずに自由に速度を調節できます。
3種類のドライブモードも用意され、「スタンダード」のほかに、電力消費量を節約できる「エコモード」、動力性能を高める「スポーツモード」を選べます。
スポーツモードは、イノベーティブペダルを解除した状態でも、アクセルペダルを戻すと同時に発電が積極的におこなわれて速度も大きく下がります。
電力消費量を抑える秘訣は、走行状態に応じて、イノベーティブペダルとエコモードを使い分けることです。
街中ではイノベーティブペダルを使って、アクセルペダルを戻すと同時に発電する走り方をし、交通量が少ない郊外や高速道路の巡航に移ったら、イノベーティブペダルは解除してエコモードを選びます。
この状態ではアクセルペダルを戻しても速度はあまり下がらず惰性で進むので、車両の運動エネルギーを温存できます。
惰性で走っているときに減速の必要が生じたら、ブレーキペダルを緩く踏みます。
新型eKクロス EVはブレーキが協調制御され、緩い減速ではディスクブレーキは作動しません。回生による充電量が増えて、イノベーティブペダルの作動と同様の効果を発揮します。
このように走行状態に応じて、イノベーティブペダルのオン/オフを使い分けるのが、電力消費量を節約するコツです。
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