「恐怖の手紙」は届いた? なぜ自動車税の「13年超車」は税金高い? SDGsと言えるも重課対象となる背景とは

税金さえ支払えば好きなクルマに乗れる「こんな素晴らしいことはない!?」

 13年超の重課措置についての批判的な声は、筆者(Peacock Blue K.K. 瓜生洋明)の周囲からも聞こえてきます。「旧車いじめ」といったり、「自動車文化を守る気が無い」といったり、それはもう散々です。

 ただし、前述のように重課措置の大きな目的は「地球温暖化対策と大気汚染対策」です。

 残念ながら「自動車文化を守る」ことは主眼ではありません。そのため、「自動車文化」を武器にこれを批判することは、お門違いだと考えます。

 また、忘れられがちではありますが、自動車税制には重課措置だけではなく軽課措置もあります。

 これは、排出ガス性能や燃費性能に応じて自動車税や軽自動車税が軽減されるものであり、具体的には電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)などであればおおむね75%軽減されることになります。

 つまり、自動車税に関しては重課という「ムチ」だけでなく、軽課という「アメ」もセットになっているということです。

毎年ゴールデンウイークが明けるとやってくる「恐怖の手紙」
毎年ゴールデンウイークが明けるとやってくる「恐怖の手紙」

 筆者は1996年式のクルマを愛車としています。つまり、重課の対象車です。

 さらにいえば、6.75リッターという極めて大きな排気量を持つクルマであるため、自動車税は乗用車としては最高額の11万1000円におよび、重課も加えると納税額は12万7600円にもなります。

 安くなるならそれに越したことはありませんが、現代のクルマとは比べ物にならないほどのCO2排出量であることを考えると、15%程度の重課もやむなしという思いです。

 ただ、筆者はそのクルマが好きで好きでたまりません。だからこそ、維持できる限りは、そのクルマを維持し続けていこうと考えています。つまり、自動車税に関しては、「ムチ」であることを承知しています。

 一方、定められた税金を納めれば筆者の愛車のように、燃費が5km/L以下の「非エコカー」でも公道を自由に走ることができるという意味で、日本は愛好家に良い国だといえるかもしれません。

 重課措置は、個人がクルマを選択する自由を侵害するものではありません。新しいクルマを購入するのも、古いクルマに乗り続けるのもあくまで個人の自由です。

 むしろ、これまで乗ることができていたクルマが、あるときからいくら税金を納めても乗ることができないように法律で規制されたなら、それは断固として反対します。
 
※ ※ ※

 もちろん、自動車税制のあり方については、正しい姿となるよう常に検討をし続けていかなければなりません。

 ただし、筆者が考える「正しい姿」とは、とにかく税額を下げることではありません。

 ましてや、特定の人だけにメリットがあるようなものでもありません。あくまで「中立公正な徴収」です。

 税制の根拠をしっかりと理解したうえで、建設的な議論をおこなうことが、日本国民の義務であると考えます。

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7件のコメント

  1. うちの11年目/18万キロの軽バンは大事に乗っていて車検の度に悪いところを全部直し、下手な新車よりも燃費が良いのだが。一律で経年劣化に依る燃費低下や技術の進歩による燃費向上で低く見られるのは心外というか。実際のところ10・15モード燃費で、16.6km/Lというカタログスペックではあるものの、最低燃費12km/最高燃費23kmなら現行の新車と変わらないと思うのだが。思うに、10年経っても燃費って劇的に向上していないよね。アイドリングストップだって結局はエンジン再スタート時のセルモーター駆動でバッテリー消費した分を発電で補ってるわけで、その分のガソリンを食う。それこそ20年前までの常にダイナモ回している車に比べたら効率は良いし、13年程度で燃費がガタ落ちというのは乗り方が悪いだけではと思う。

  2. 今どきの車は耐久性も良くなったからなぁ…13年で増税は早いと思う。
    21年にしたら良いんじゃない?
    流石に20年も乗ったら十分でしょ。

  3. 自動車税は最低の制度、日本から自動車が失くなる制度、トヨタ、日産、本田、スズキ、マツダ、ダイハツ、スバル、ミツビシ、各社は何してる!

  4. そもそも、西欧諸外国に比べて、税額の絶対額が圧倒的に高いから、さらにそれに重課するので問題ではないのでしょうか?

  5. うーん・・・
    教科書どおりの優等生的記事で一見すると至極 正論にも思えなくもないが、よくよく見ると根拠となるデータにかなり乱暴な全体平均値を用いているところに疑問(隠れた悪意?)を感じざるをえない。
    経済的弱者(でも生活にクルマが不可欠な人達)への視点が欠けている都会的なお金持ち理論のような気がするのは私だけだろうか…。

  6. こんなにデータにこだわるなら一台一台、実際の環境負荷で税金を払う仕組みにすべき。年間何km、どこで走り、どんな燃料、どんな電気、どんなタイヤでどのくらい減ったか、どの位人、物を運んだか、事故に遭遇したか、実データで証明する時代がこれからの多様なモビリティ手段の選択方法を語れるのでは。自動車メーカーの公開値、カタログ値、車検時の平均データだけの統計値を信じるの?既にメーカー、検査体制の形骸化によるイタチごっこ、実際走行は燃費規格の算出方法とかかなりかけ離れておる事は皆さんご承知でしょう。レースの世界、F1もレース前の車検と予選時、レース中、レース後車検時の抜き打ちで発覚なんて事も諸中なのだから。そこに金掛けたら如何。歩く〜飛行機までその人の移動実績から環境負荷を原単位データで!

  7. この増税の最大の問題は、旧車の所有者に重課しているという点です。極端な話ガレージに置きっぱなしでほとんど乗らない=環境を汚染しない人にも重課している点で論理が破綻しています。
    「地球温暖化対策と大気汚染対策」というなら、直接的にガソリンに環境税を上乗せし、大気を汚染した人に払わせるのが本筋と考えます。 
    そうすればよく乗る人(大気汚染を多くする人)程燃費の良い新しい車に乗る合理性が生まれるのです。
    自動車税を廃止し、ガソリン環境税の導入のセットではいかがでしょうか。

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