「恐怖の手紙」は届いた? なぜ自動車税の「13年超車」は税金高い? SDGsと言えるも重課対象となる背景とは
自動車税を納める季節がやってきました。新車登録から13年が経過したクルマについては、おおむね15%の重課措置がとられていますが、なぜ古いクルマを乗り続けることが重課の対象となるのでしょうか。
データが示す「乗り換えたほうが環境によい」
ゴールデンウィークを過ぎる頃には、多くのユーザーのもとに自動車税(自動車税種別割)の納税通知書が届きます。
ほとんどの都道府県で自動車税の納期限は5月31日となっており、これを過ぎると延滞税が発生したり、自動車税納付証明書が発行されないことにより、車検を通すことが出来なくなる恐れもあり得ます。
一方で新車登録から13年が経過したクルマについては、おおむね15%の重課措置がとられています。
長く乗り続けることは「持続可能な開発目標(SDGs)」といえなくもないですが、なぜ13年超えのクルマは重課税の対象となるのでしょうか。

一般的なコンパクトカー(排気量1L超-1.5L以下)の場合、税額は3万500円となります(2019年9月30日以前に初回新規登録をしたクルマは3万4500円)。
ただし、自動車税には新規新車登録から13年超である場合には、おおむね15%の重課措置、つまりより税金を多く納めなければならないという規定があります。
より正確にいえば、ガソリン車とLPG車は13年超、ディーゼル車は11年超の場合におおむね15%の重課。
軽自動車では13年超の場合に軽自動車税がおおむね20%重課されます。また、自動車重量税にも重課措置があります。
自動車に関わる税制は複雑多岐にわたっており、その内容に対して常に批判の声が絶えません。
そもそも、この重課措置が導入された背景は「地球温暖化対策と大気汚染対策を目的」であることが環境省による資料「重課に係る論点について」のなかで述べられています。
税制の基本的原則として「受益者負担」というものがあります。
この場合でいえば、古いクルマは最近のクルマに対して環境負荷が高いことから、古いクルマのユーザーがより多くの税金を負担するということになります。
一方で13年超のクルマにおける重課措置を批判する人の多くは「古いクルマを長く乗り続けたほうがエコである」という説を唱えます。しかし、環境省の資料によるとこの説は必ずしも正しくはないようです。
まず、2018年時点で乗用車における重課措置の対象車は保有台数全体の19.0%におよぶといいます。
一方、JC08モードを基準とした新車平均燃費は2018年時点では22.0km/Lであるものの、その13年前である2005年には14.0km/Lとなっています。つまり、この13年で57%もの燃費改善がおこなわれています。
これらのデータをもとに、環境省ではCO2の排出量に関するあるシミュレーションをおこないました。
このシミュレーションでは、2000年に新車を購入し2025年までクルマを利用するユーザーAとBを想定し、Aは重課措置を避けて2013年時点で新車に買い替え、Bは25年まで同じクルマに乗り続けるとしています。
また、国土交通省公表値をもとに2000年にAとBが購入したクルマの燃費を12.5km/L、2013年にAが購入したクルマの燃費を20.5km/Lとし、年間走行距離は1万kmとしています。
さらに、このシミュレーションの注目すべき点が、新車製造時のCO2排出量についても想定していることです。
新車製造時のCO2排出量を研究した論文をもとに、それぞれ新車の購入年には4.1tのCO2が排出されるとしています。
これらの前提をもとにシミュレーションをおこなうと、AとBにおけるCO2排出量は2012年までは同一量ですが、2013年にAが新車に買い換えることで一時的にAのCO2排出量の方が大きくなります。
しかし、2018年を境にAとBは逆転し、2025年時点ではAのCO”排出量が46.472tであるのに対しBは51.616tと、約10%の差が生じることになります。
この結果を見る限り、13年超のクルマにおける重課措置の目的が「地球温暖化対策と大気汚染対策」であり、CO2排出量の削減であるなら、重課措置をおこなうことはしっかりと根拠のあることであるといえます。










































